まず被災された皆さまにお見舞い申し上げます。
突然失われたたくさんの命、そのご冥福を心からお祈りします。
そしてご家族の皆さま・ご友人の皆さまにお悔やみ申し上げます。
多くの命が失われました。
多くの人が家族を、住まいを、財産を、平安な暮らしを失いました。
そしてその悲しみを感じる間もなくサバイバルを強いられています。
その数33万人。さらに損壊した住宅は6万棟を超え、その家族の暮らしも損なわれています。
この人たちに何ができるか。一人の建築人として、そして住宅業界として、姿勢が、行動が問われています。
ただ、難しく考える必要はないと思っています。できることを、自分のペースでやればいい。
被災地を思いながらも楽しく過ごし(そして消費を通して経済を支え)、大震災の教訓を生かしてよりよい家をつくる。
これも被災しなかったつくり手ができる貢献です。
いま自分にできる貢献を考え、しっかり生きていきたいと思います。
被災された方からすると、していない者の勝手の物言いに聞こえるかもしれませんが、今回の大震災をきっかけに日本人、そしてニッポンが再び力をみなぎらせ、輝きを放ち始めるのではないか、そんな予感と希望を感じています。
たしかに被災地の現状と復興の現実は厳しく、原発危機も私たちの心に暗い影を落としています。経済の先行きも見えません。でも、危機的状況のなかで分かってきたことがあります。
それは、失われた20年の間で忘れられたと思われた日本人の特質―利他の精神、忍耐と礼節、つながり・コミュニティの重視、勇気と調和などが、きちんと残っていたということです。いや、ネットという触媒によって進化したと言えるかもしれません。
このことを身近で何気ない機会に、そしてメディアやネットを通じて、多くの人が大震災後に感じているのではないでしょうか。
そのなかで、がんばろう、立ち上がろう、やってやろう―そんな勇気を多くの人が持ち始めているように見えますし、それは必ず「感染」していくはずです。
日本人が失わなかった大切なもの、そして勇気の感染がニッポンの再建を支える。そんな予感と希望を感じているのです。
さらに勝手な物言いを許していただければ、日本は苦境からの再建の過程で力を蓄え、輝きを増してきました。たとえば幕末、たとえば戦後。
今回の再建を通して、よりよい社会が、新しいシステムが見えてくるように思いますし、よりよい住まいを、コミュニティと町を、みんなで生みだしていければと思います。
ネット上の動画共有サイトですでに100万人以上が再生し「勇気づけられた」とネットで評判になっている動画があります。地震発生から3日目に救助されたおじいさんが笑顔でTV局のインタビューに答えます。「大丈夫です。チリ津波も体験してますから、大丈夫です。また再建しましょう!」
がんばろうニッポン。
立ち上がろう住宅業界。
やってやろう建築人。
みんなで再建しましょう。
三浦祐成(新建ハウジング編集長:現編集局長)
※3月17日に入稿した新建ハウジングの3月20日に載せた一文です。入稿前の明け方に書いたこんな雑感的な、そしてベタな文章を載せるべきか、また厳しい被災地の状況ののなかでここまで楽観・ポジティブな文章でいいのか、(一瞬)悩みましたが、載せることにしました。
誰かが言ったように、人には「我欲」「利己」の部分があり、特に自身が当事者になると、パニックに陥ると、それが強く出てきます。買占めや過剰在庫なんかもそうなのでしょう。すべて「善」でてきている人は、僕も含めていないと思います。これは仕方がないと思っています。
その部分をえぐりだしさらけだすこともメディアや物書きの仕事なのでしょうが、僕の性に会いませんし、そんなスキルもありません。僕にできるのは、楽観的にポジティブに、無邪気にノーテンキに、人の「善」の部分を信じ、その感染を信じ、感染をうながしていくことです。
そして僕は、日本が少し冷静になったとき、この「善」の部分が再建を支えると思っています。そして日本人はその「善」の部分を失っていない。それは上の文章に書いたとおりです。
「もしドラ」が、「サンデル教授」が、昨年多くの人に読まれ、「善」について考える機会となった。そしてツイッターやフェイスブックという「善」の感染を促すプラットフォーム(=ソーシャルメディア)が日本でも普及した。すごいタイミングだと思っていますし、「善」の感染・増幅に貢献していると思います。
新建ハウジングも、そんな「善」の感染・増幅に貢献できる住宅メディアでありたいと思っています。
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