新建ハウジング2月20日号のトップ記事は、富山県朝日町で地元の活性化を目指して空き家の利活用に取り組む工務店・家印(やじるし)の事例を取り上げました。空き家の利活用は、新築市場の縮小が避けられない中で、地域工務店にとって有望なストックビジネスで、すでに各地でさまざまな取り組みも行われています。さらに、コロナ禍に伴う地方移住ニーズの高まりを受け、取り組みを本格化させる好機が訪れています。
自社のオフィスもリノベ物件である家印は、企業を誘致して空き家をオフィスとしてリノベしたり、古民家を飲食店として再生したり、事業を通じて積極的に地域活性化に取り組んでいます。また、空き家を含む住宅の所有者と移住者など購入希望者をマッチングする事業も展開し、“空き家化”を防ぐ取り組みにも力を注いでいます。そうした事例を紹介しながら、貢献から生まれる地域から信頼こそが、実は工務店の持続的な経営を支え、未来をつくっていくことに直結しているということを伝えます。
そのほか、岐阜県産材活用の産学官連携のサプライチェーン「ぎふの木ネット協議会」が5月オープンを目指して進める、県産材を活用した地域工務店のモデルハウスが一堂に会する「デジタル展示場」について紹介。VR、動画で岐阜県産材や国産材を用いた工務店の住宅を体感できるほか、普段、ユーザーが見学する機会の少ない木材生産現場を含めた“家づくりのストーリー”を知ることができる場を提供する試みです。
少数精鋭で良質な家づくりを行いながら生き残っていく戦略を事例によって紹介する連載「nano(ナノ)工務店の経営術」では、ナノ工務店の理想像を探るをテーマに、大手・準大手とは異なるニッチ層を狙う営業戦略を解説。伝統構法、超高性能、個性が強いデザインを志向する顧客にターゲットを絞った上で行うと有効な営業手法を具体的に説明しています。
テレワークなど工務店による働き方改革の事例も取り上げました。結婚や配偶者の転勤のタイミングで有能な人材が退職してしまうことを防ごうと、県外でもテレワークで仕事が続けられる“テレワーク転勤”について紹介しています。この仕組みがコロナ禍でも有効に機能し、さらに人材育成などにも役立っています。この事例からは、社員が自ら働く環境について考え、仕組みを構築していく企業文化を根付かせていくことが何よりも大切だということが分かります。【編集長・関卓実】
新建ハウジング編集長・関卓実
長野県出身。長野県の建設専門紙「新建新聞」の記者、編集長を務めた後、2018年より本紙編集長。
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