野村総合研究所(東京都千代田区)は今年9月、東京特別区(23区)および政令指定都市20市において、本人所有の住宅に住む20歳以上の人を対象に、インターネットによる「住宅の防災・減災意識に関する調査」を実施した。回答者数は2755人。
「あなたは近い将来、自分が大規模な地震災害に遭遇すると思いますか」という設問に対して、「非常にそう思う」と回答した人の割合が高かった都市は、静岡市(35.7%)、浜松市(28.7%)、熊本市(26.3%)、名古屋市(25.7%)などだった。これらの都市は、今年震災を経験した熊本市を除いて、いずれも政府により東海地震や東南海地震による甚大な被害が想定されている太平洋岸地域に位置していた。
また、自身や家庭における自助として、(1)家具類の固定、(2)飲食料(3日分)と生活必需品の備蓄、(3)避難場所と避難ルートの確認、(4)家族間での安否確認の方法についての話し合い、(5)防災訓練への参加、の5項目の実施有無を調査した上で、5項目の実施率の平均値を「自助実施率」と定義し、大規模地震への遭遇可能性に対する意識との関係を分析した。
その結果、「あなたは近い将来、自分が大規模な地震災害に遭遇すると思いますか」という設問に対して「非常にそう思う」と回答した人の割合が高い都市ほど、自助実施率が高い傾向にあることが分かった。
さらに、自治体が実施する防災行政として(1)防災教育、(2)リスクの見える化、(3)防災対策に関する知識の普及、(4)家庭の防災対策に関する市役所の相談体制、(5)防災対策に必要となる資金援助、の5項目を、住民による評価や自身の認知度に基づき、各項目1~5点で指数化。その上で、都市別に「項目別の指数の平均値」「5項目の平均値」を算定して「評価点」とし、自助実施率との関係を分析した。
その結果、自治体の防災行政に対する評価点が高い都市は、東日本大震災を経験した仙台市(2.8点)、大規模地震のリスクが高いとされている静岡市(2.8点)などだった。さらに、自治体の防災行政に対する評価点が高い都市ほど、自助実施率が高い傾向にあることが分かった。
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