ビジネスモデルの概略
ハウスメーカーが実践し、実績を上げている最もベーシックなビジネスモデルのひとつだ。
エリアナンバーワン企業として地域シェアが15%以上、2位以下の企業と棟数2倍以上の差をつけることで実現するビジネスモデルである。
そもそも住宅業界においては、特筆できる優れたビジネスモデル・革新的なモデルが登場していない。その大きな理由の一つに、「フランチャイズ加盟」がある。多くの住宅会社は、フランチャイズを利用し、その時々の儲かる事業パッケージ=フランチャイズを買うことが経営者の仕事になっており、独自の経営戦略を構築することに集中しなくてもよくなってしまったのである。業界全体の文化として、ビジネスモデルを考えたり、構築する機能が弱くなっていると言えよう。
しかし、今後は企業全体の経営戦略を考えなければ、生き残れない。市場衰退期でも勝ち残るためのビジネスモデルを真剣に考えることが、経営者の仕事なのである。
ポイント 1 独占市場の構築
通常のビルダー経営では、地域シェアは8%程度に落ち着く。最初の壁である地域10%シェアを超えるのがこのビジネスモデルの最大のポイントだ。
まずは、商品で伸ばそうと考えてみよう。そのためには「競合と同じものを売っても仕方がない、差別化しよう」と思うだろう。商品の差別化戦略は、一定のファンを獲得することは比較的容易にできるが、シェアを拡大しようとすると万人に好かれる商品にする必要が生じ、差別化要素を薄めなければならなくなる。そこで、商品の特徴を薄めると、売れなくなるパターンに突入する。
そこで、万人受けしないというデメリットを、商品変更ではなく、営業力でカバーすることを考える。ファンを獲得できる非常に良い商品であることに自信を持ち、万人が購入可能な比較的安い価格設定にし、確実にお客様をつかめる高い営業力でガンガン売る仕組みをつくる。
こうなると、基本的に分業となり、営業プロフェッショナルを多く抱える必要が生じる。その結果、他社より圧倒的な営業力を保有する会社となる。
ポイント 2 営業担当者による紹介活動
次に、集客の問題が生じる。
チラシだけでは集客数が不足してしまう。営業担当者それぞれが、集客機能を保有する必要がある。チラシでは来場しない層を引っ張るために、紹介活動とポスティング活動を実施する。それぞれの活動ポイントを押さえて、地域で一番人数の多い営業担当者が、それぞれ圧倒的営業力でこれらの活動を行う。
そうすると、地域のすべてのお客様が、住宅購入検討時、必ず自社に来場するようになる。
その結果、不況に強い組織となる。他社は不況時にチラシ媒体に頼るが、自社では営業担当者の活動力に頼るため、待ちではない、能動的な働きができる。このため、他社が業績を下げる時期に、逆に業績が上がっていく組織となる。
ポイント 3 強いマネジメント力
このモデルに欠かせないことは、トップダウン=社長の発言をすぐに実行する組織となっていることである。昨日決まった社長発信のアクションが、今日には社員全員で実施されている文化があるかどうか。
このビジネスモデルは、ハウスメーカーが取ってきた確実な成功モデルであり、戦略としての明瞭さが際立つ。その明確な道に必要な活動を、社長は社員に伝え、社員が確実に実行するだけでよい。逆にそれができなければ失敗する。
これらの活動を続け、2位とのシェアの差が開き、2倍となった時にビジネスモデルとして完成する。チラシを2倍打つことができるようになり、営業担当者数も2倍いる。圧倒的に、いかなる状況でも競り勝つことができるようになる。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。