スマートハウスしかりZEHしかり、住宅の性能は国の定める基準やメーカーの技術革新に伴い日々進化を続けている。では、「住宅営業の性能」は日々進化しているだろうか? 住宅の仕様変更とは異なり性能をすぐに手に入れることはできないが、いったん向上してしまえば受注の原動力として臨機応変に貢献し続ける営業力。本コラムでは、「狙い通りに受注をチェックメイトする」プロフェッショナル営業のノウハウについてお伝えしていきたいと思います(官谷)。
受注力≒商品力?
魅力的な住宅を提供すればお客様は必ず選んでくれる、と住宅性能の向上やデザイン力・ブランド力の研鑽に余念のない工務店。
お客様満足度を最優先に行動する社風を作ればお客様は必ず選んでくれる、とCS教育に熱心な工務店。
どちらも素晴らしい企業努力である。元・住宅営業の目から見ても、いい家だな、いいスタッフが多いな、と感じる工務店はかなり多い。
全国の工務店が造る住宅性能レベルはこの10年で飛躍的に向上しているし、本誌を購読するような感度の高い経営者がリーダーシップを発揮する会社であればそれも当然のことなのかもしれない。
では、狙い通りの受注棟数は確保できているだろうか?
大半の工務店において、答えは否だ。高い住宅性能の家が必ず売れるのであれば誰も苦労などしない。
お客様が魅力的に感じる性能やデザイン力には、それを実現するためのコストがかかる。いいものは高いのが相場だ。当然価格も上昇する、だから『性能やデザインがいいのは分かるけど、高いね』ということになる。
仮にその性能の高さやデザインの良さを100%理解できたとしても、「無い袖は振れない」のが大半のお客様の実情であり、性能の良さに対する理解度が70%程度に留まれば、「ずいぶんと高いね」という認識になってしまう。
『高い』というリターンに対する次の矢が【お客様満足度最優先の人間力】だけなのであれば、もうここには敗戦の匂いが色濃く漂い始め、そこには値引き・サービスを伴う長期戦が待ち受けているはずだ。
それでも今まで受注が取れていたのは、予算超過した額を捻出できるお客様の資金力であったり、他社と比べた中では自社が一番マシだったから、という偶然の他力によるものだったりするため、受注の再現性がとても低いのだ。
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