これから新築住宅着工が減少するなかではもちろん「ハコモノ」の性能競争も大切な要素ですが、それだけではブランド力・コスト競争力で大手メーカーの後塵を拝することになってしまいかねません。しかし、共に家づくりを進める住宅会社の「ヒト」とヒトが大切にしている「コト=経営理念」には、今後大きな差が生まれてくると考えています。逆の言い方をすれば、経営理念とそれを実践する人がつくる住宅にこそ価値が生まれるのです。例えば、なぜ自然素材を活用して時代に流されないデザインの家づくりをするのかは、「売れるから」ではなく「経営理念に照らし、お客様や地域社会のためになるから」と定義づけられます。
利益のみを優先するのではなく「正しさ」「住み手の幸せ」を考えた家づくりこそ多くの地域工務店の強みであり、それは「みんなが住みたくなる家づくり」でもあるはずです。しかし素材感だけをウリにしてデザインや間取りに見劣りがしたり、デザイン住宅をウリにしているのにスタッフの服装がダサいというイメージギャップは、常に地域工務店に存在します。これでは独自の世界観は見せられません。
大手ハウスメーカーが百貨店だとするなら地域工務店は「地域の感じのいいセレクトショップ」という位置づけが最もしっくりくるポジションですが、そこに来てもらう理由(=付加価値・独自の世界観)をつくる活動が必要になるわけです。
良いものをつくっていたら受注できる時代は終わりました。薄利多売の時代も終焉を迎えるでしょう。考えるべきは「ヒト・モノ・コトのイメージを統一した一気通貫型経営」で独自の世界観を表現することではないかと感じています。
※次号 第2回「ライフスタイル提案業」 からは、新建ハウジング購読者限定となります。お読みいただくには、新建ハウジング本紙に記載のパスワードが必要です。
購読申し込みはこちらから。
「ライフスタイル型工務店実践例」
カフェ・ライフスタイルショップを併設したライフスタイル展示場「LisM」
※次号(第2回 ライフスタイルの提案)からは、新建ハウジング購読者限定となります。お読みいただくには、新建ハウジング本紙に記載のパスワードが必要です。
文・青木 隆行
株式会社 銘建 代表取締役 カントク
1972年 山口県防府市生まれ
松下幸之助経営塾 第三期生(PHP 研究所主催)
29歳で事業を承継し代表取締役就任後、経営危機を乗り越え『正しい商売』を軸に地域型工務店を経営。会社・スタッフ・住宅のイメージを統一した一気通貫型経営を提唱、経営理念に基づいた高付加価値の企業経営を実践している。地域の気候風土に適したデザイン性の高い家づくりをモットーに木造住宅の新築・リフォームを手掛けると共にライフスタイル提案業としてカフェ・ライフスタイルショップをオープンし、同時に地域の皆様との一生のお付合いを実現するためにデイサービス事業も展開中。2015年9月地域工務店を対象とした『ライフスタイル型工務店勉強会』を福岡市で開催予定。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。