国土交通省は10月13日、建設業の中小企業の経営を強化するための指針を公表した。生産性向上に向けた取り組みとして、新技術・工法の導入など技術的なアプローチに加え、技能と経験を蓄積した熟練工の育成・活用など人材の効率的活用などを盛り込んだ。
同指針は、今年7月に施行された中小企業等経営強化法に基づいたもので、指針に沿ってマーケティングや財務管理の高度化、人材の育成、生産性向上などに関する「経営力向上計画」を策定し認定を受けると、固定資産税の軽減や金融支援が受けられる。
建設業向けの指針に定められた施策の項目は以下のとおり。
自社の強みを直接支える項目
(1)人に関する事項
(イ)教育訓練の充実(新規入職者等への教育研修等)
(ロ)生産性向上に向けた複合工(多能工)の育成・活用
(ハ)従業員の処遇改善(月給制、週休二日の確保等)
(2)財務管理に関する事項
(イ)原価管理の高度化(年次計画、中長期計画の整備など)
(ロ)社内業務の効率化(ICT機器活用など)
(3)営業活動に関する事項
(イ)年間受注計画の策定(発注情報の適時の収集等)
(ロ)適正な利潤を確保した受注
(4)新技術・工法の積極的導入
(イ)ICT施工の実施、コンクリート工における生産性向上技術の活用等、i-Constructionの推進
(ロ)NETISを始めとした新技術・新工法等の導入
(ハ)生産性向上に資する取組の導入
持続的な成長に向けた長期的な取り組み
(5)中長期的な人材確保に向けた人への投資
(イ)中長期的な人材の確保・育成(計画的な新卒採用、採用ルート強化等)
(ロ)人事評価体系整備や管理システム投資等(キャリアパスの整備等)
(ハ)女性や高齢者の活躍推進など(働きやすい雇用環境の整備等)
(ニ)事業の円滑な承継に向けた取組(後継者の計画的な育成等)
(6)建設企業のイメージ向上につながる取り組み
(イ)社会・地域に向けたPR活動(地域イベントへの参画等)
(ロ)環境負荷軽減に配慮した事業の展開
(ハ)防災・減災等社会・地域の持続的発展に対する有償・無償の貢献(人的・金銭的貢献等)
計画には、上記の中から企業の規模に応じて定められた施策を盛り込まなければならない。小規模(20人未満)は(1)~(4)から1項目以上、中規模(20~300人未満)は(1)~(4)から2項目以上と(5)(6)から1項目以上、中堅(300~2000人未満)は(1)~(4)から3項目以上と(5)(6)から2項目以上。
計画の認定は各地方整備局で受ける。
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