忙しい工務店の仕事を楽にしてあげたい——。そんなシンプルな思いから開発されたクラウドサービス『工務店向けクラウド』を使う工務店が増えている。これまでの工程表ソフトや顧客管理ソフトと何が違うのか。特徴とメリットをダイテック(東京都中央区)クラウド事業部の郡章さんに聞いた。
クラウドってなに?
クラウドサービスとは、サーバにある情報をネットワークを介していつでも・どこでも使えるようにする利用形態のこと。代表的なところでは、グーグルのメールサービス「Gmail」や写真保存サービス「Googleフォト」、ビジネス利用が増えている「Facebook」や「Instagram」がそうだ。
ダイテック・郡さんは「自分で所有せずに利用するのがクラウドサービスの本質」だと言う。
いつでもどこでも、ずっと使える
クラウド普及以前は、ソフトウェアやサーバ機器など、なんでも自分で所有して設定しなければメールすらままならなかった。加えて、定期的なバックアップ、ソフトや機器の買い替え・増設、セキュリティ対策のための更新作業も必須。専門知識がなければ対応できない問題も多く、パソコンに強い社員に負担が集中したり、外部業者に入ってもらうために業務が停滞することもあった。
こうしたわずらわしさを一気に解消するのがクラウドサービスだ。インターネット環境と端末さえあればすぐに利用でき、使い続けるための作業も要らない。常に最新の情報を共有でき、扱うデータ量に応じた性能拡張やバックアップ・セキュリティ対策も自動。便利な機能を手軽に利用するなら、これほど理想的なしくみはほかにないのではないか。
工務店のためのクラウドが登場
そんなクラウドのメリットを工務店業務に落とし込んだのが、ダイテックの『工務店向けクラウド』だ[図1]。
もともとつきあいのあった地域工務店があまりにも忙しそうだったため「クラウドで業務効率化のお手伝いをして、少しでも楽にしてあげたい」との思いから開発をスタート。2014年7月に提供を始め、わずか1年で導入企業が100 社を超えた。
最大の特徴は「これ1つで工務店業務のほぼすべてをまかなえる」という懐の深さ。①見積書、②実行予算、③工事台帳、④入出金管理、⑤営業推進台帳、⑥情報共有の主要6機能がそろっており、すべての情報はクラウドで連動する。最初から全機能を使いこなす必要はなく、どこから始めても問題ないのだそう。
工程表作成、業者管理が楽に
とくに人気なのは工程表機能だ。
「おそらく工務店さんの7~8割はエクセルで工程表を作っていますが、日付の切り替え、背景色の塗りつぶし、図形の線引きなどかなり手間がかかる作業です。さらにこれをプリントアウトして手書きで追加する会社も少なくありません。『工務店向けクラウド』なら、着工日と完成日を入れて微調整するだけ。現場単体だけでなく、会社全体のスケジュールを1つの画面で把握できるので、業者の入り具合を見たり、ローテーション管理も簡単にできます」[図2・3]。
スマホやタブレットを使って外出先でこうした業務をこなす便利さを1度体験すると、いままでの非効率なやり方には戻れないという。
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