住宅の市場環境は確実に厳しくなっている。危機を感じながらも目の前の仕事に追われ、具体的な手を打てないまま悶々とする工務店も多いのではないだろうか。何をすれば、どうすればいいのか。悩める経営者と同じ立場にあり、しかし常に突破口を探し続ける実践者のリアルなことばを、今回から紹介していこう。(編集部)
変わらなければ「王道」は突き進めない
新しく連載を担当いたします相模稔です。オーガニックスタジオ新潟という工務店の代表をしています。
私自身も新建ハウジング読者で、毎号楽しく読ませてもらっています。いつだったかの記事で「①情報発信②差別化③地力―この3つを兼ね備えている工務店はどこも行列ができている」と、三浦祐成社長が書いていました。
私も、この3条件を強化すべきと考え、経営の良い座標軸とさせてもらっております。当社は8人で切り盛りする小さな住宅屋ですが、おかげさまで1年半先まで工事が埋まっているのが常態化し、行列ができている。なぜなのか、その要因を自己分析した内容を連載していきます。
FC住宅の営業で学ぶ
初回はひとまず自己紹介をさせてもらいます。
生まれは新潟市のはずれの田舎。基礎屋を営む家に生まれました。次男坊のために親の会社は継ぐ気がなく、大学は経済学部へと進みました。
学生時代はバブル最盛期で、あまり勉強熱心な学生ではありませんでした。いざ就職となった時に選んだのはドイツで、日本人向けの学習塾での講師を2年やりました。
日本に戻り仕事を探し、日本初の住宅FCであるアイフルホームの本部に就職しました。そこで、工務店の経営やマーケティングのイロハを学びました。その後、実務の現場で働きたいとの思いで、アイフルホームの加盟店へと転職し、住宅営業マンとしての月日が過ぎていきます。
当初のローコスト住宅では飽き足らず、サンワホームという木造注文住宅の会社に転職し、さらに営業マンを続けていました。
会社では外部の設計事務所に協力してもらってプランのレベルを上げようということになり、そこで、叔父さんの営む設計事務所と提携することになりました。これが建築に目覚めるきっかけになりました。35歳のときです。
オーガニックスタジオ新潟の建てる家。55坪の邸宅が1台のAC暖房で冬を越した
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