地盤工学会(東京都文京区)はこのほど、横浜のマンション傾斜に端を発した基礎杭工事問題に対する提言をまとめた。民間や公共が持っている地盤に関する既存情報の活用の推進や、建築の専門家と地盤技術者の連携を緊密にとっていくことで、安全な設計・施工を実現するための環境を整えていくことの必要性を訴えた。
提言の内容は以下の通り。
提言1
適切な地盤調査の実施 主な対象:技術者(発注者・設計者・施工者)
対象地盤の特性をより的確に把握するために、周辺の地形・地質、既存の地盤情報に基づき適切な地盤調査計画を立案し、そのために必要な数量のボーリング等を実施する必要がある。
提言2
新たな技術開発 主な対象:技術者・研究者
今後、コストに配慮した新しい地盤調査手法や、施工した杭の品質確認が行える手法の研究開発・実用化が必要である。
提言3
既存の地盤情報の有効活用 主な対象:行政・技術者(発注者・設計者)
既存の地盤情報は極めて有用であるため、地盤情報の収集・活用がより一層推進される必要がある。
提言4
地盤技術者の建築プロジェクトへの連携体制の構築 主な対象:行政。技術者(発注者・設計者)
地盤に精通した技術者が、建築基礎の設計・施工の実務により緊密に協力できる環境を整えるべきである。
提言5
地盤技術者の育成 主な対象:行政・技術者(発注者・設計者・施工者)・研究者
地盤工学会を含む関係諸機関は、建築分野での地盤工学に精通した技術者の育成に、より一層努めるべきである。
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