パッシブデザインと暮らし方
もっとも簡単に「1985」を実現するには、太陽光発電を設置すればよい。しかし、それでは健康・快適な住まいが実現できる保証はない。
これまで本誌でも度々言ってきたように、まず検討すべきは断熱も含めたパッシブデザインだ。うまくやれば「我慢することを少なくして、省エネ、省電力消費」が実現できる。そこがパッシブデザインのおもしろさであり大きな魅力だ。
しかしそこでは「暮らし方」が重要になる。暮らし方に工夫しなければ省エネ&健康・快適は得られない。そして、パッシブデザインされた住まいとそこでの暮らし方をこれから大いに普及させていく必要がある。
そしてそのとき、やはり注文住宅のつくり手の役割が重要になる。建てた住宅の特性を知り、そこでの適切な暮らし方をアドバイスできるのは注文住宅のつくり手しかいないからだ。
それに精通すれば、既存住宅の特性を把握し、そこでの暮らし方のアドバイスもできるようになる。
またもちろんパッシブデザインを含めた既存住宅の省エネ改修も大事な仕事だ。こうした仕事は本当にみなさん以外には誰もできない。
温暖化対策と「1985」
昨年まとめられた「温暖化対策中長期ロードマップ」。このロードマップに従って温暖化対策を進めていく計画だったが、それが今後どうなるかはわからない状況になっている。
この「Forward to 1985」の内容は、少なくとも住宅分野でのロードマップを計画通りに、もしくはその計画以上のレベルで進めていくものになっているはずだ(いろいろ調べてみたが、この内容とロードマップの内容との定量的な関係は十分に確認できなかった)。
「原発に頼らない、産業は停滞させない、CO2排出削減にも向かう」という理想をできる限り実現するために「Forward to 1985」はある。
この運動の展開「一緒にやりましょう」
この運動はあらゆる垣根を越えたものにしたい。派閥、グループ、家づくりの考え方の違い、電力や原発の見方の違いなどを乗り越えたものにしたいし、そうできると思っている。
具体的には、まもなくシンボルマークの入ったポスターができる予定になっている。間もなくご紹介できるだろう。マークやポスターは筆者のホームページでダウンロードできるようにする予定だ。
また今回述べたような主旨を含め、どのような形でこの運動を進めていきたいか、さらには様々な数値や論理(エネルギー消費量の推移、電力消費量の推移、1/2に向かうために必要な事柄、既存住宅をどうするか?など)をまとめた文書をつくり、これについても筆者のホームページでダウンロードできるようにした。
今秋には名古屋あたりで大集会も開催しようと考えている。本紙読者ともぜひ様々な形で「一緒に」この運動を進めていきたい。
野池政宏[住まいと環境社 代表]
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