原発の話をタブーにしない
先日シロアリ点検に行ったお宅の奥さんから「野池さんはいまどんなことをメインに動いているのですか?」と尋ねられ、「1985」の話をした。
その奥さんは今回の原発事故のことに関心があるが、同世代の奥さんたちと話をしても原発のことがまったく出てこないことに驚き、また不思議がっていた。
そこで筆者は「たぶんそれには3つのタイプがあって、ひとつは本当に関心がない人たち。次はよくわからなくて判断がつかない人たち。そして最後は原発のことには関心があるけど、原発という言葉を口にすれば特殊な人間と思われる人たちがいるんじゃないですかね」という話をした。
今回の事故に対するネット上でのやりとりを少し読んでみる機会があったが、そこで感じられたのは「反原発運動アレルギー」と呼べるような感情を持つ人が一定数存在するということ。そういう人たちと筆者とは原発や放射線、エネルギー問題に対する理解も認識も異なるだろうが、私の中にも「反原発運動アレルギー」はある。
もちろんすべての反原発運動がイヤではないし、高く評価している団体や動きもあり、尊敬している反原発活動家もいる。ただ、反原発の活動が何か浮世離れしている印象や独善的でヒステリックな感想を持つことも多い(反原発だけではなく、反○○運動はおしなべてそういう印象だ)。
いま求められるのは、そんな感情を超えて、原発に対する各自の考えや感覚を素直に表現することだろう。
新聞社などでも原発の是非を問う調査も行われているが、そこでの選択肢は大雑把で、各個人の「クレジット」が表現されない。「原発容認」という回答をした人でも「こういう前提で容認」というのが必ずあるだろうし、「原発否定」という回答をした人も同じだ。そこを素直に語ることで、これからの原発のあり方や付き合い方、エネルギーとの付き合い方が見えてくるはずだ。
「Forward to 1985」では、そうした表現がどんどん出てきて、前向きな議論が始まるようにしたい。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。