「共感」というのはなかなか難しくて見えにくいのですが、マーケティングの中心になると思っています。というか、もうなりつつあります。
共感というのは感覚を共にできるということ。つまりは近い価値観をもっているということです。
価値観とは「何をいいと思うのか」「悪いと思うのか」という物差しです。まったく違う物差しをもっている人とは、物を見る尺度が違いますから、感覚を共にすること、分かりあうことは難しいでしょう。
逆に、価値観の近い人とは好きなモノ・コトが重なるので話も合いますし、一緒にいて心地よいですから、自然とつながっていき、きっかけがあればコミュニティへと育っていきます。
僕は「誠実マーケティング」などと呼んでいるのですが、これからのマーケティングは、企業が価値観を明確にし、それに共感した人が顧客になっていく。
似た価値観をもつ人はつながりやすいので、きっかけを与えてコミュニティへと育てていく。
そのコミュニティといい関係を維持し、リピートや紹介・クチコミで受注を最大化していく。
こんなスタイルが理想だと考えています。
この点「フェイスブック」は上手く設計されていて、「いいね」ボタンは、まさに「何をいいと思うのか」という価値観の表明・共感の「見える化」であり、似た価値観の人がつながっていくことを支援していると言えます。
さらには、企業の「フェイスブックページ」はそんな価値観でつながった人のコミュニティとして機能する可能性を秘めています(現在は物珍しさ半分で「いいね」する人が大半でしょうが)。
この点でフェイスブックは企業のマーケティングツールとしても面白いかな、と思っています。
家づくりにおいてもまったく同じです。
価値観でつながれる顧客と(だけ)仕事をする
その顧客同士のつながりをリアル・ネットでつくり、コミュニティへと育てていく
そのコミュニティに様々なサービスや楽しみを提供し、「一緒」に活動していく
価値観が近い人が集まるコミュニティなので、自分たちも楽しみながら長くいい関係を維持できる
そのコミュニティに見込み客を招き入れて「これがしたかった暮らしだ」「この仲間に入りたい」と感じてもらう=教育する(顧客に教育してもらう)
こうした過程で顧客の満足度と「愛着」を高め、リピート・クチコミを最大化していく
こんなマーケティングが可能なはずです。
価値観でつながるということが「きれいごと」という考え方もあるでしょうし、否定はしません。そう考える企業はそうではない切り口(「目立つ」とか「低価格」とか)でマーケティングすればいいと思います(ただ、「目立つ」「低価格」で集まる見込み客が自社にとっていい客層なのか、その客層と長くいい関係を維持できるか。結構しんどいと思います)。
また、オーナーのコミュニティに人・時間・金をかける余裕なんて、という現実の声もあると思います。でも、こちらにこれらをかけるほうがよほどパフォーマンスが高い。そう考えています。
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