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連合設計社市谷建築事務所(東京都千代田区、戎居連太代表)は、これまで住宅系設計事務所として同社が長年培ったノウハウを工務店経営にも応用してもらおうと、少人数制の実践ワークショップを8月19日から4回シリーズで開催する。
連合設計社市谷建築事務所は、3500万円を超える高価格帯住宅を中心に全国各地で毎年50棟以上の設計に携わる。地域工務店とのつながりも深く、モデルハウスや社屋の設計依頼も多い。最近ではさらに工務店の社内設計者向けに定期的な設計研修や、社内設計者が手がけるモデルハウスの監修などの依頼も増え、戎居さんは全国を飛び回る。そうした工務店との関わりのなかで戎居さんは、地域工務店の設計業務に対する潜在力や課題も見えてくるようになったという。
設計事務所からみた工務店の課題
まず驚いたことは、工務店の中でも高価格帯住宅を手掛けられる「エース級」の設計者がいるということ。にもかかわらず、彼らは工務店の主力価格帯である2200万~2300万円の受注に追われ、それ以上の高価格帯の顧客との接点をもてないでいること。また「エース級」の設計者が業務を一人で抱えるために、優れたノウハウが社内に共有されにくく、潜在力をもつ設計者たちが脇役に甘んじていること。さらに営業・設計・工事の各業務で外注委託や自動化が進む一方、業務の縦割り構造が依然として固定化されていること、などだ。
実はこれらの課題は、戎居さんが2004年に代表を引き継いで以来改革してきた課題に通じるものが多かったという。例えば、設計事務所ではすでに所員が営業・設計・工事のすべてを担う「マルチタスク」を基本にしながら、さらに米Apple社やGoogle社に代表されるような、デザイナーが経営の核に立ち、営業・企画・仕入・工程管理までをあらゆる業務を統括することで高い生産性と商品ブランドを実現する「デザインマネジメント」を推進してきた。
また一人の圧倒的に有能な設計者の力に頼らず、設計者が顧客の代理人として不安や要望の抽出・課題解決の提案にあたる「設計者のエージェント化」を提唱。さらにその設計エージェントがチームを組むことで高価格帯の顧客を満足させる高い設計レベルに到達し、安定した人材育成もできる「チームプラニング」のしくみを構築してきた。戎居さんはこれらの設計組織の再構築を通じて、設計事務所と地域工務店を融合した新しい住宅会社のあり方を構築できるとの確信をもち、提案を始めている。
高単価受注でブランド確立を
戎居さんは今後の新築市場について、これまで工務店が主力とする2200万円~2300万円台の中間層の激減により、2000万円以下の低価格帯市場とともに激しい競争と淘汰が進むとみる。
こうしたなかで、これまでハウスメーカーの独壇場であった高価格帯市場では、工務店が強みとする素材調達力や施工技術を生かしながら、高度な設計組織を構築できれば、ハウスメーカーと対等に地域工務店が受注でき、地域工務店で新たなブランド力を確立できる可能性があるとみる。戎居さんは「高価格帯という新しい市場に向けて、工務店に求められる新しい設計組織のあり方を提示したい」と話している。
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第1期「工務店ミライ塾2016」開講
新建ハウジングでは、全国各地で工務店の未来像を模索する方たちが集い、ともに学ぶ場として「工務店ミライ塾」を開講いたします。
第1期では、ご紹介した戎居連太氏による「デザインマネジメント塾」のほか、地域メディア「つむじ」編集部+相羽建設・広報チームによる「工務店広報塾」、松尾設計室・松尾和也氏による「エコハウス設計塾」の3塾。地域でブランドを確立するための3テーマを厳選しました。
詳しい内容・申し込みは専用ウェブページから。ぜひこの機会にご参加ください。
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