カネシン(東京都葛飾区)はこのほど、同社が開発した「プレセッターSU梁受金物」について長期荷重による変形量を調べる試験を実施し、接合部の変形が使用上支障がないことを確認した。
建築金物には「実験で担保される金物」と「設計で担保される金物」があるとし、今回のプレセッターSU梁受金物は前者に、TS金物やZマーク金物は後者に該当するという。
実験で担保される金物は、コンパクトかつコストが抑えられるメリットがあるため木造建築で使われるケースが多い。ただしこれまでは、短期・長期荷重による耐力については実験で確認した許容耐力・基準耐力から判断することができたが、長期荷重による変形量(クリープ変形)を示すデータがなかった。
そうしたなか、日本建築学会の木質構造設計規準の記載を受けて、中大規模木造建築の設計時にはクリープ変形の影響を確認すべきとの声があがっていた。
そこで同社は、長期荷重による変形量を見るため、「DOL試験」(所定の荷重をどのくらいの時間継続できるかを検証)と「クリープ試験」を実施した。試験は、京都大学生存圏研究所・五十田博教授の研究の一環として約2年間にわたり行われた。
結果、DOL試験においては1時間、3日間、3カ月間の裁荷期間を超えても金物は破壊しなかった。クリープ試験においては接合部の変形が使用上支障がない範囲であり、最大荷重変位に到達するまでの期間がおよそ到達不可能な年数になることがわかった。
これらのことから、「長期間にわたって荷重がかかる環境にあっても、接合部にほぼ影響を及ぼさないということが確認できた」とする。
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