熊本地震の建物被害の原因分析を行う有識者委員会の第2回会合が6月30日、行われた。被害の大きかった熊本県益城町中心部の被害要因の中間的な分析結果が示された。木造建物の倒壊割合は1981年6月以降2000年5月以前の建物で9.1%、2000年6月以降の建物で2.9%だった。倒壊の主な要因は接合仕様が不十分であったことと推測。地震の揺れで接合部が破壊され、耐力壁が有効に機能しなかったことが被害を大きくした可能性が高いという。9月に3回目の会合を開き、委員会としての報告書を取りまとめる予定。
会合では、日本建築学会が行った益城町大字安永、大字宮園、大字辻の城のほぼすべての建築物2652棟を対象にした調査の分析結果が示された。木造住宅は1940棟(建築時期不明196棟)。そのうち1981年5月以前の旧耐震建物702棟で倒壊したものは225棟、倒壊割合は32.1%と高かった。
新耐震基準以降で倒壊、崩壊した木造住宅99棟(建築学会の調査対象エリア外の19棟含む)の倒壊原因を分析した結果、柱頭柱脚の接合仕様を確認できた94棟のうち、90棟は現行基準を満たしていない可能性があったという。
2000年6月以降の建物で倒壊した7棟については、現在、図面などで詳細な分析を進めている。
いわゆる「前震」で倒壊した木造建物は、建築学会の調査エリア内で33棟確認された。そのうち5棟は新耐震以降の建物だったという。
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