徹底した安否確認と巡回訪問
ヘルメットを被って電話がけに専念するスタッフ。夜を徹してオーナー家族への安否確認作業が続けられた(アネシス本社)
工務店事務所の敷地を活用して行われた炊き出し。SNSの「LINE」などを通じて集まった被災者に暖かい食べ物が振舞われた(アネシス本社)
朝のミーティングではマニュアルの注意点などを周知徹底した(新産住拓)
観測史上初めて短期間に震度7を2度観測した熊本地震。建物損壊は4月23日夕方前時点で1万324件。被害が大きかった益城町を含む7市町村で建物が安全かどうかの応急判定が進んでおり、熊本県の発表では調査対象エリアにある建物の48% が「危険」と判定されるなど被害は甚大だ。そんななか被災直後から地元工務店も住民支援に動き、工務店ネットワークは現地の工務店への支援を進めている。
「地震でのお怪我などはございませんでしたでしょうか?」で始まるアネシス(熊本市、加藤龍也社長)の4月14日のブログ。同社内には熊本地震発生からまもなく社内に災害対策室が設置され、夜間にも関わらず社員の多くが出社し、2100件におよぶ住宅オーナー既存客)へ電話による安否確認が夜を徹して続けられた。
熊本地震では4月16日未明、前夜の前震に続いて震度7の本震が襲った。同社では電話での安否確認に加えて、注意喚起が行われた。「ライフライン(水道・電気・ガス)の確保」→「雨風を凌ぐ処置」など優先順位を明確にして、工務店が住民に常に寄り添う姿勢を示し続けた。
スタッフ一人ひとりが自らも家族の安否を気遣いながらの作業。地域工務店として創業して22年。「今後も木造住宅へのニーズは変わらないと思うが、お客様の不安を払拭する新たな耐震工法へチャレンジしたい」(加藤社長)と決意を新たにしている。
新産住拓(熊本市、小山英文社長)では4月14日の震災直後、これまで台風災害時に機能してきた風水害マニュアルを震災対策マニュアルに見直した。「社員達は過去に台風災害を経験しており、自分が何をすべきか、優先順位はなにか、を日頃からわかっている」と小山社長。翌朝のミーティングではチーム編成と「余震がおさまるまで屋根へ上らない」などのマニュアルの注意点などを全員に周知徹底した。益城町はもちろんエリアごとに割り振られた4~6人のチームが、1日5~10世帯を巡回・仮復旧する作業が始まった。
同社は社員・パートなど150人の大所帯。自宅の全壊・半壊で避難所や車中で寝泊りし会社に通勤するスタッフが大勢いる。こうした中で住宅オーナー家族を守る、地域へ貢献する、という使命感で社員が心をひとつにした行動が今も続けられている。
『新建ハウジング』4月30日号から
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