第６回　女性・若者を伸ばすための必須ツール〝マニュアル〟　田原祐子

　田原祐子

若手がマニュアルを要求するのは、実は「当たり前」のこと

　「若手社員に『この会社には、マニュアルがないのですか？』と聞かれ、困った」という話を頻繁にお聞きするようになったのは、かれこれ５～６年前からでしょうか。

「マニュアルなんて、我々の頃にはなかった」
「何をするにも、マニュアルを要求されて困る」
「マニュアルに頼っていては、考える力がなくなる」

といったご意見や、嘆きも、多いものです。

　しかし、“背中を見て覚えさせる”時代は、はるか昔に終わっています。というのも、終身雇用が終わり、簡単に転職をする時代ですから、背中を見せて…式の悠長なことをしていては、人は育ちません。

　また、「見て・感じて・学ぶ」には、世代間ギャップがあり、感じ方に開きがありますぎます。あなたと同じことを見ても、若手が「同じ感じ方」をすることはできません。そのため、人を即戦力化するためにはマニュアルが必須であり、この現象は、住宅業界だけでなく、すべての業界に共通しています。

　例えば、私の知り合いの医学部の教授も、「最近の研修医は、昔の赤ヒゲ（腕と評判の良い医者）先生のところには行きたがらず、それよりむしろ、研修医を育てるプログラムやマニュアルがきちんと整備されている病院を選ぶ」のだと、お話しされていました。

「マニュアル」はあくまでベース。どんどん進化させることが必須

　しかし、マニュアルがある会社でも、「実際にはマニュアルがあっても、まったく役に立たない」と言う人もおり、どのような状況かを確認させていただくと、マニュアルを作っても、
「見ていない」
「活用していない」
「更新していない」
という状況で、マニュアルを作ったが放置している、中には、何年も前のマニュアルを棚に飾っているだけという会社も少なくありません。

　弊社がお勧めしている、マニュアルは、仕事の流れ（フロー）に沿って作成し、日々それを使って実際に業務を実施し、月に一度は、その流れで果たして効率がよく、成果が上がっているかを“確認”し、都度“変更”する、〝変更・更新・進化〟を前提としたマニュアルです。（フレーム＆ワークモジュールマニュアル）

　日本には古来から武道で“守破離（しゅはり）”とい概念があるように、まずは基本の形を覚え、少しずつ改良を加え、最終的には形に捉われない状況にまで成長するのを「良し」としています。

　その基本となる形を教えずして、「上達しろ！」と言うのは、所詮無理なのです。

※インフォメーション

１月２６日に、東京・銀座で、今回のマニュアルを含め、新しい時代の工務店経営について、お伝えするセミナーを開催します。新建新聞社から出版した、『工務店経営者に考えて欲しい、本当の経営戦略』をもれなく進呈。「新建ハウジング」編集人の三浦新建新聞社社長、住工房スタイルの野口社長にもご登壇いただきます。是非ふるってご参加ください。

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