免震装置、制震ダンパー、転倒防止器具の製造・販売を手がけるアイディールブレーン(東京都千代田区)が2015年に発売した「ミューダム」は、世界で初めて「金属流動」を利用した次世代型木造住宅用制震ダンパーだ。2004年から始まった九州大学との共同開発の中で、世界で初めてアルミと鋼材の「金属流動」を発見。それ以降、研究を重ねて2015年に製品化した。
従来のゴム系ダンパーやオイル系ダンパーとは異なり、夏冬の温度変化や揺れの速度変化に関わらず、片筋交いでも両筋交いのように圧縮・引っ張りの対称性能を有し、繰り返し安定した性能を発揮する。1995年の兵庫県南部地震を再現した振動台実験では、従来の木製筋交いを「ミューダム」に入れ替えると、最大の揺れ幅が85%低減された。
その構造は、内鋼管と外鋼管からなる刀と鞘のような二重構造がスライドするもので、筋交いのスライド部分にボルトで強く締め付けたアルミ板を仕込んである。制震のメカニズムとしては、地震時に伸び縮みをして摩擦する際、アルミと鋼のあいだで金属流動という現象が起き、地震エネルギーが熱エネルギーに変換され、揺れを減らす仕組み。抵抗力の低下はほとんどみられず、60年以上の耐久性を示す。
こうした性能によって、国土交通大臣認定を取得。認定壁倍率は、寸法60×30×2080mmのRLタイプが2.3倍、寸法60×30×2360mmのRHタイプが2.2倍となっている。
※初出時、RHタイプの寸法が誤って掲載されておりました。お詫び致します。
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