国土交通省は、15年度の土地白書を閣議に報告した。メインテーマは土地市場の構造的変化。市場が、投資性よりも利便性・収益性を重視する実需中心へと変化していると分析した。さらにこれをふまえて、従来の土地政策を検証し見直す転換点に来ているとした。
土地白書の主な内容は以下のとおり。
●地価
都心とその周辺部、名古屋市、札幌市、福岡市の一部では下げ止まりも。地方圏では下落続く。
●不動産取引
取引件数は減少。ただ都心では活発な動きも。「不動産証券化」といった新たな投資システムの普及、企業の土地放出の増加が要因。不動産証券化の15年度実績は650件(前年度比89・5%増)。資産額は3兆9950億円(同57・2%増)。
●企業の不動産取引
「減損会計」対応で保有不動産の売却が加速。ただ、都心に近い、ITなど設備が整っている、規模が大きいオフィスビルの需要は堅調。
●住宅需要
消費者の持ち家志向は依然高い。東京圏では都心回帰現象が続く。これにあわせ、都市部では店舗や公共施設の充実がすすみ、居住環境の向上が加速。
●16年度の土地施策
[1]都市再生:「都市再生特別措置法」「まちづくり交付金」「都市計画決定権限の市町村への移譲」などの法的枠組を使い、都市再生を進める
[2]地籍整備の推進:都市再生に不可欠な地籍整備を進めるため、「都市再生街区基本調査」を実施
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