東京都は3月31日、中小住宅業者による「3割安い」家づくりの研究開発を行う「東村山市本町地区プロジェクト」の事業方針を策定。4月12日に説明会を開催、123社・団体が参加した。9月から事業者の公募を行う。
東京都が実施する「東村山市本町地区プロジェクト」は、石原慎太郎知事の「中小住宅事業者による安くて良質な家づくりを支援する」という方針から出てきたもの。
都営住宅の建て替えによって生まれた東村山市本町地区の土地に、公募プロポーザル(提案書類の評価で事業者を決める手法)で選ばれたデベロッパーが開発を実施。スーパーなどの生活利便施設、福祉施設なども誘致、本格的なまちづくりを行う。さらに、公募プロポーザルで選ばれた住宅建設事業者が「建物価格が3割安い」家づくりの実証実験をその一画で行う。行政の試みとしては画期的な事業といえる。
選ばれた事業者は共同で事業会社を設立、都と基本協定を結んで事業を進める。
土地は70年間の定期借地権で事業会社に貸し付ける。住宅取得者(消費者)には定期借地権の転貸方式で貸す。事業会社は、事業期間中、定期借地権の管理(地代徴収など)やまちなみの維持管理などを行い、期間終了時には土地を都に更地で返す。
戸建て建設実証実験の公募プロポーザルの提案必須条件は以下のとおり。
【提案必須条件】
●住宅の広さ:敷地面積50坪(165平米)程度、床面積40坪(132平米)程度
●建物価格:同程度の広さと質を備えた住宅の市場価格より3割程度安く抑えること
●性能表示:住宅性能表示制度で一定以上の性能等級を持つこと
●公開の姿勢:主要な仕様や経費内訳を明示すること
●生産システム:設計、資材調達、施工等の各段階にわたり合理的でかつ汎用性の高い生産システムを使用すること
以上の条件を満たしていることに加え、住宅の質と価格、生産システムの汎用性・合理性、間取りプランの普遍性・可変性などを審査し、事業会社を決定する。
東京都では都市整備局のホームページに事業の概要を公開しているほか、意見・質問をメール等で4月22日・23日に受け付ける。6月頃にデベロッパーと住宅建設事業者の募集要項を公表、9月頃から提案を受け付ける。来年1月頃には事業予定者が決まる見通しだ。
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