■建材工場も規制の可能性
工場や事業所が出す排ガスにもVOC(揮発性有機化合物)規制がかかることになる。政府は3月9日、工場・事業所からのVOCの排出を抑えることを定める「大気汚染防止法」の改正案を閣議決定した。今国会で審議後、法律として公布。公布後2年以内に施行される。
大気汚染の原因物質である「浮流粒子状物質」(SPM)や「光化学オキシダント」の発生にはVOCが深いかかわりを持っていることが指摘されている。今回の法案は、工場や事業場などからのVOCの排出を規制することで、大気汚染を防止するのが目的だ。
規制の対象となるのは、囲みに挙げた施設のうちVOC排出量の多い大規模なもの。これらの対象施設には、煙突など排出口での排出濃度基準を守るよう対策が義務づけられる。
規制対象施設の指定や排出基準などの詳細は、法律の公布後あらためて検討していく。
【法律の影響】
詳細はこれからというものの、建材工場、特に塗装・接着ラインはこの法律の規制対象になる可能性がある。対象になれば排出基準を守るためにVOCの削減や専用設備の設置といった対策を迫られるため、建材メーカーは動向に注目しておく必要がある。
重要なのは、VOCが大気汚染の原因となるということ。米国ではいち早く大気汚染の観点からVOCの排出が規制されている。VOCを多量に扱う住宅産業にも根本的な対策が迫られてくる。
VOC排出規制の対象予定施設
[1]塗装施設、塗装後の乾燥・焼付施設
[2]化学製品製造での乾燥施設
[3]工業用洗浄施設、洗浄後の乾燥施設
[4]印刷施設、印刷後の乾燥・焼付施設
[5]ガソリンなどの貯蔵施設
[6]接着剤使用施設、使用後の乾燥・焼付施設
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