NPO法人自伐型林業推進協会(東京都新宿区)は11月2日、自伐型林業の取り組みに関心を持つ人を対象とした「『自伐型林業』オープントークin東京」を開催した。代表理事の中嶋健造氏は「山林の所有と経営が分離されて以来、山林所有者や地域住民が林業をやらなくなり、山の知識、山を見る目が急速に失われた。近年の土砂災害も8割は現在の林業に原因がある。より多くの人が自伐型林業に取り組むことで、本人も、その周りにいる人も山の知識をつけられる。山林の見方に対する国民レベルを上げなければ」と日本の林業の現状に対して警鐘を鳴らした。
東京で初めて開催された一般向けのオープントークには、自伐型林業に将来取り組みたい人や関心のある人、山の所有者、官公庁・自治体で林業に関わる人など、東京や関東在住の社会人・学生が約25人参加。参加者からは「実際に自伐型林業が成り立つためには、最低でどれくらいの面積が必要か」、「山は買うべきか」といった実践を視野に入れた質問が多く寄せられた。
これに対して、中嶋代表は自立した自伐林業家への道を指南。「副業なら10~20ヘクタール、主業・専業なら50~100ヘクタールが理想。すぐにでなくていいが、最終的には所有することが望ましい」「50年以上の木が生えていること、それから森林組合が一度も間伐していない山であれば、どんどん買うべき」などと具体的にアドバイス。Iターンなどによる参入では、地元地権者とのつながりや地元自治体の支援なしには難しいこと、しっかりとした山の知識を持つ指導者から指導を受ければ、自立した林業家として生活していけることなど、これまでの経験から現実的な回答を行った。
また、こうしたアドバイスの一方、中嶋代表は従来の森林組合を中心とした林業の問題点として(1)山の所有と経営の分離政策、(2)50年皆伐の一般化、(3)高性能林業機械導入の一般化、の3点を指摘。これらの影響で、木材市場では良質な木材の流通が行われず、集成材が主流となっていることから、自伐型林業の導入により「林業を変えることで、木材産業も変わっていくような状況を作り出さねば」との考えを示した。
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