国土交通省は、既存建築物の耐震化を促すため、建築基準法を改正する。
建築物のストック対策のあり方を検討していた「社会資本整備審議会建築分科会」(分科会長・岡田恒男東京大学名誉教授)は2月2日、「既存建築物の改善と有効活用のための建築行政のあり方について」を国交省に答申。これを受け、国交省は建築基準法を改正する。
分科会では、耐震基準を満たしていない既存不適格建築物が、住宅で約1400万戸、非住宅建築物で約120万棟ある現状をふまえ、これらの安全・衛生性能を向上させるための施策を検討してきた。
具体的な検討内容は次の通り。
【1】安全・衛生の性能確保
これまでは、既存不適格建築物のうち「著しく保安上危険である場合」に限って、特定行政庁が命令し対応をうながしてきた。この制度の実効性を上げるため、一歩前の「危険であるおそれが高い」と認められる場合でも、勧告などによって予防的な対応が取れるようにする。
【2】法令順守の担保
建物の所有者が特定行政庁に行っている定期報告制度について、報告内容などを充実・強化するとともに、調査を行った資格者などに行政が内容を確認できるようにする。定期報告がなかった場合は、行政担当者に立入検査の権限を与える。建築ストックの維持管理状況などの情報開示も進める。
【3】既存不適格建築物の取り扱い
増改築を行う際、すべてを最新の基準法に適合させなければならないこと(=遡及適用のルール)が、改修の実施を遅らせ、結果的に耐震化などを阻害している。このため、耐震化工事だけを先行することできるよう、遡及適用のルールを見直す。
国土交通省は、この答申に基づいた基準法改正案の作成を本格化、3月上旬の国会提出を目指す。
■国土交通省 TEL:03-5253-8111
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