新建新聞社は、国際認定経営コンサルタントの田原祐子氏が提唱する、工務店経営における5つの重要項目(新5ファイブフォース)のバランスと11のポイントの見直しによる経営改善手法をまとめた新刊を発売します。発刊を記念して著者の田原祐子氏に、本書の概要を紹介するコラムを寄稿していただきました。(編集部)
工務店経営「新5フォースバランスと11のポイント」
田原祐子(国際認定経営コンサルタント)
工務店経営者が知っておくべき、経営の鉄則「家が売れないのは、問題のサイン!」
「家が売れない」「社員の営業スキルが低い」…、この業界で、足掛け25年近くコンサルティングを生業としてきた弊社には、さまざまな悩みを抱える経営者の皆様からの相談が寄せられます。
震災の2~3年ほど前から、相談は増え続け、内容も多様化・深刻化しています。「売れない」あるいは、「社員が育たない、定着しない」という状況は、今の経営に何らかの課題があるというサインです。そして、このような場合、何か安易な解決策を求めたり、一時しのぎの付け焼刃的な処方を施しても、状況はまったく好転しません。むしろ、一層悪化していくものです。
現状から目を背けず、勇気を持って向き合い、このような現象を引き起こしている課題の「本質」部分にメスを入れ、根本的な改善・改革を実施しなくてはなりません。
工務店経営の新5フォースバランスと11のポイント
~今ある、社内のリソース(人、モノ、金)を生かした、経営強化~
根本的な改善・改革と言うと、「資金がかかるのでは?」「とても、自社では取り組めないのでは?」といった疑問や不安を持つ方もいらっしゃることでしょう。しかし、「改善」することで、かえって基盤がグラグラしたのでは意味がありません。弊社がご提案する内容は、‘なるべくコストをかけず’‘今ある、人、モノ、金を活かしつつ’実現可能な取り組みです。
次にご説明する、たった5つの重要項目を強化することで、まず経営の基盤をきっちり構築します。経営は、家と同じで基礎がしっかりしていなければ、上物がどんなに華やかで美しくあっても、何かあれば簡単に崩れてしまうのです。
[新5フォース=5つの重要項目]を押さえていなければ、経営基盤は脆弱
具体的には、「顧客データ」「営業活動」「年間計画」「PR活動」「自社の強み」という、5つの重要項目を1つずつきっちり構築していきます。
(1)顧客データ・・・未来の顧客情報がどれだけ正確につかめているか?
住所録では意味がない。また、顧客の年齢を見れば、この先、どのような受注状況になるかも、予測できる。
(2)営業活動・・・・「誰が」「いつ」「どのような」営業活動するか決まっているか?
顧客を刈り取る営業活動ばかりになっていて、顧客を増やす営業活動がなければ、受注はジリ貧になる。
(3)年間計画・・・・年間計画は、単なる行事計画になっていないか?
受注を獲得するために、何をするかという、経営計画になっていなくては、意味がない。そもそも計画すらない状態なら、言語道断。
(4)PR活動・・・・情報化時代の今、重要や役割を果たす情報発信ができているか?
PRの原則は、「見えている通りの顧客が来る」。今の客層に不満があれば、PR自体を変えなくてはならない。
(5)自社の強み・・・競合他社でなく、顧客から自社を選んでもらえる理由はあるか?
「何でもできる」は、「何にもできない」に等しいため、強みを打ち出さなくてはならない。
重要なポイント
実は、上記の5つの重要項目は、すべて掛け算になっており、どれか1つの項目がゼロであれば、結果は著しく悪くなってしまいます。そのため、「顧客データ」「営業活動」「年間計画」「PR活動」「自社の強み」のどれもが、1(=最低ライン)以上の状態になっていなければ、家は売れません。要はバランスが大切なのです。
したがって、この5項目を、“新5フォースバランス”と銘打っており、これらのバランスが取れていれば、『継続して売れ続けるしくみ』ができあがります。もちろん良い家を建てることが大前提ではありますが、良い家を建てても売れないのは、この5項目がきっちりできていないからなのです。
メーカー、商社、販社、FC・VCが知っておきたい、“ダブルフレームワーク”
この[新5フォースバランス]は、経営の指標にもなります。弊社でも、本来は、もっと細かい項目を分析していますが、それらを集約し、誰もがわかりやすくまとめたのが、[新5フォースバランス]です。本書の中でご紹介している、[新5フォースバランスシート]を記入していただければ、誰もがひと目で、「何が、原因で売れていないか?」がわかり、「どうすれば、売れるか?」という解決策も明確になります。
そのため、メーカー、商社、販社、FC・VCの方々にも、[新5フォースバランス]を活用した、コンサルティング方法を、ぜひ知っておいていただきたいと思っています。というのも、この5つの重要項目が、果たしてどのような状況であるかを見極めなければ、単に、商材を提案しても、売れないためです。それどころか、基本的なバランスがとれていない状況に、新しい事業や商材を提案すると、大切な取引先工務店が、倒産の危険すらあるものです。
逆に[新5フォースバランス]を捉えれば、その改善手法を理解習得することで、ルートセールスう担当者の提案力・問題解決能力は格段に高まり、コンサルティングスキルも身につけることができます。弊社が設立以来、18年かけて構築したコンサルティングノウハウの集大成である、[新5フォースバランス]を、工務店のみならず、メーカー、商社等のルートセールス担当者の方々にも、惜しみなく伝えたいと切に思っています。
知っておきたい[11の経営ポイント]
さらに、新刊『工務店経営 新5フォースバランスと11のポイント』では、
第1節 受注産業の落とし穴に落ちないようビジネスモデルを考えましょう
第2節 なぜ社員は動かないのか
第3節 売らない営業担当者は解雇すべきか
第4節 経営に魂を入れる
第5節 世代交代とターゲティング
第6節 AIS&SAS理論に基づく新たなウェブ戦略
第7節 女性活躍推進のトレンドは是か非か
第8節 朝礼のない会社は滅びていく
第9節 顧客データベースの重要性と効果的な活用法
第10節 失敗しないPRツールの使い方とファン化イベント
第11節 ブランディング&マインド、フレーム&ワークのバランス
という、11の経営ポイントについてお伝えしています。
『工務店経営 新5フォースバランスと11のポイント』
A5判 280頁
定価:2500円+税
著者:田原祐子
出版社:新建新聞社
発売日:2015年11月10日
11月上旬全国書店で発売予定。
新建新聞社が運営する「新建オンラインストア」なら今すぐご購入いただけます。
国際認定経営コンサルタント 世界46カ国が加盟する国際公認経営コンサルティング協議会の認定を持つコンサルタント(The Certified Management Consultant (CMC))。外資系人材派遣会社のセールストレーナー、経営コンサルタント会社の新規事業室長を経て、1998年に研修・コンサルティング業務を柱とする株式会社ベーシックを設立。独自の〝フレーム&ワーク〟メソッドによって、関係構築型で確実に実績を上げるコンサルティング、営業マン育成や同行訪問による現場での実践指導、時間短縮と業務効率化の両立を手掛け、これらを融合した人材育成の仕組みづくり、営業ノウハウの共有化、顧客データベース構築、マネジメントスキーム構築等の、経営指導を得意とする。特に住宅・リフォーム・不動産業界の現場に精通しており、地方の小さな企業から東証一部上場企業まで、営業戦略、事業継承、人材育成、新規事業立ち上げ、女性活躍推進等のコンサルティングやプロジェクトマネジメントでも、高い評価を得ている。オール電化の普及率を70倍にアップさせた「オール電化」の陰の仕掛け人でもある。著書には、「女性パワーで家は3倍売れる」(住宅新報社)、「女性客のハートをつかむ住宅営業必勝マニュアル」「住宅営業そのやり方を変えましょう」(実務教育出版)等13冊、業界誌への執筆多数。 株式会社ベーシック http://www.basic7.com/ 一般社団法人フレームワーク普及促進協 http://www.framework.or.jp/framework.html Yuko Tahara プライベートサイト http://tahara-yuko.com/
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