住宅ローン減税が現行規模で1年間延長されることが正式に決まった。減税は17年も継続されるが、段階的に規模が縮小される。
財務省・総務両省が発表した16年度の税制改正は、国と地方を合わせ約35億円の増税となった。増税型の改正は7年ぶりとなる。
国税は年金課税を強化したが、法人税を減税したため、合計で90億円の減税となった。一方地方税は、個人住民税の引き上げによって225億円の増税となった。
■住宅ローン減税
注目の住宅ローン減税は、年間50万円を上限に10年間で最大500万円の税額控除が受けられる現行制度が、今年末まで1年間延長された。
本来は、今年から年25万円を上限に6年間で最大150万円と規模が縮小され、17年には制度自体がなくなる予定だった。しかし、自民党の税制調査会で「急激な減税規模縮小は住宅投資を冷やす可能性がある」との声が大勢を占めたため、今年も現行制度が継続されることになった。
ただし、17年以降は、10年間の控除期間を据え置いたまま、最大控除額を段階的に縮小する。
■住宅関連の減税
住宅の買い替えで生じた損失を4年間所得から控除できる制度は、15年末までの適用期限が3年間延長された。住宅を売却してもローンが残る場合その残高を4年間控除できる制度も創設する。
土地税制については、5年超の長期保有の土地を譲渡した際の譲渡益にかかる税率(現行26%)を20%に引き下げる。短期保有の土地譲渡益に対する税率(52%)も39%に軽減する。また、商業地の固定資産税を軽減するため、地方自治体が税額をある程度自由に設定できる制度も創設する。
■その他の影響
まず大きいのが、個人住民税の市町村税が上限の3000円に統一されたこと。また、年収100万円超の所得がある妻に対する均等割の非課税措置は、17年度に税率を1/2にして課税、18年度以降は撤廃する。
公的年金等控除で65歳以上を対象にした最低控除額が現行の140万円から120万円に縮小された。所得の種類を問わない定額50万円の老年者控除が廃止された。
今後、これらの増税は住宅投資にもじわじわと影響してくるとみられる。
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