天井に埋め込む。室外機1台で複数の部屋をまかなう。
「空調をデザイン」することが暮らしの楽しさ、豊かさにつながる。そんな価値観が生まれつつある。
ダイキンのハウジングエアコン・マルチエアコン
1台の室外機で2~5室の空調が可能。天井埋込カセット形のほか、床置形、壁埋込型などデザイン性の高い6種類のバリエーション
タツミプランニング(神奈川県横浜市)は、年間500 棟もの新築住宅を手がける“ 行列ができる工務店”。「デザインラボ」と呼ぶ19人のデザイン専属チームをもち、1人の住まい手のために「デザインとライフスタイルの探求」を惜しみなく行う。そんな同社にとって、エアコンは単なる冷暖房設備ではないという。デザインラボを統括する三浦将之さんに話をうかがった。
タツミプランニング
DesignLabo 次長
三浦将之さん
顧客の「ライフスタイルをカタチにするのが得意な会社」のデザインを統括。古いものと新しいもの、時間と空間を融合する「CLASH MODERN(クラッシュモダン)」を提案している
壁をデザインする
「デザインは〝壁〟がすべて」だと三浦さんは言う。
この日訪れた「マリスカルハウス」は、パティオを中心にさまざまな角度に壁が配置された超個性的なモデルハウス。無垢材で覆われた壁もあれば、ブルーやレッドで彩られた壁、デザイナーのハビエル・マリスカル氏のイラストが描かれた壁、と実に多様だ。
「たとえばこのブルーの壁に白いエアコンがボコっと突き出していたら、それだけでせっかくの壁が台なしだと思いませんか?デザインにこだわる当社にとって〝壁からデザインを無くす〟という選択肢はあり得ないのです」。
天井は「懐」が深い
「壁をデザインする」という視点からみると、コンセントスイッチや窓のフレーム、カーテンレールなども、かつてはジャマモノだった。だが、時代とともに変化を遂げ、壁と一体化したり、デザインのアクセントとして使えるようになった。そのなかで、壁付けエアコンだけが相変わらずの存在感を放つ。
たどり着いた解決策は「天井埋込カセット形」の採用だ。デザインの優先順位が高い同社にとって、天井は壁以上にエアコン設置がしやすい〝懐の深い〟部位。「面がフラットになるので目線がいきにくいのもメリット。吹き抜けなどで天井設置が難しい場合は、床置形も選択肢に入ると思います」。
このモデルハウスでは、1階と2階に1台ずつ、計2台のハウジングエアコンで全館を空調。しかも、わずか1台の室外機で2台をまかなっている。
室外機を最少限に
室外機の存在感も見過ごせない。「4台、5台と室外機が並ぶ住まいを見ると、どうしても無粋だと感じてしまう」という三浦さん。外観デザインの足かせになるのはもちろん、植栽のためにも極力設置台数を抑えたいと考えてきた。
さらに最近は、近隣への配慮が欠かせなくなっている。「隣家との距離が近い住宅地では、室外機の熱がご近所トラブルに発展するケースも少なくありません。室外機の数が多いほど対応が難しくなるので、1~2台にまとめられれば理想的」とも。同社の求める性能と柔軟性を満たし、かつ考え得るリスクを排除できる設備として選ばれたのが、ダイキンの「ハウジングマルチエアコン」だ。
暮らしの質が変わる
これほど空調にこだわるのは、それが住まい手の暮らしの楽しさ、豊かさに関わると考えるから。
コーポレートアイディンティティは「ライフ イズ トレジャー(人生は宝物)」。同社では、住まい手の楽しく豊かな人生のために、どんな些細なことにも挑戦し、課題を克服したいと考えている。「お客様の長い人生のなかで、エアコンがボコっと突き出た空間と、美しくデザインされた壁のためにあえて天井に埋め込んだ空間、どちらが暮らしを楽しくしてくれるのか。私たちはずっと、後者の価値観で家づくりをしてきました」。
空調の概念も変わる
とはいえ、家づくりの初期からエアコンのことを視野に入れている人はむしろ少数派で、コスト重視で選ぶ人のほうがまだ多いのが現状。三浦さんは「照明を例にとるとわかりやすい」と切り出す。
「量販店に行けば1万円以下で家じゅうの照明が揃うのですが、いまや間接照明をちゃんとプランニングしたいというニーズのほうが主流です。
エアコンも同じ。量販店で安く済ませたい人がいる一方で、これからはコストをかけてもデザインやライフスタイル重視で機種や設置場所を選びたいという新しい価値観をもった人がどんどん増えるはず。私は、照明デザイナーがいるように〝空調デザイナー〟がいても面白いと思います」。そして、こうした流れが「すぐそこまで来ている」と感じるのだそう。
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