NPO法人持続可能な環境共生林業を実現する自伐型林業推進協会(東京都新宿区)は6月18日、協会設立1周年記念のシンポジウム「自伐からひらく『地方創生』の時代〜加速化するNew自伐型林業」を東京都内で開催した。同協会の中嶋健造代表理事は、これまでの活動を振り返り「若者がどんどん自伐型林業に参加して、実際に成り立ち始めた。また、昔からの林業家たちも、林業を復活させるために自伐化している。日本の林業は根本療法が必要。自伐は根本療法になり得る」と確かな手応えを示した。
シンポジウム前半では、愛媛大学の泉英二名誉教授と九州大学大学院の佐藤宣子教授が講演。それぞれの視点から林業の後継者問題に言及し、自伐が普及することで、近世以来の林業制度で活躍した「山守」の復活や、「Vターン」(孫もどし)による祖父母世代から孫世代への林業技術の継承といった可能性が開けることに期待を示した。
後半のパネルディスカッションでは、高知県佐川町の堀見和道町長、滋賀県長浜市の北川善一郎氏(産業経済部森林整備課理事兼課長)、谷林業(奈良県北葛城郡)の谷茂則氏、シマントモリモリ団(高知県四万十市)の宮﨑聖氏、社会福祉法人福祉楽団(千葉県香取市)の飯田大輔氏、ヤンマー(大阪市)の橋本康治氏(アグリ事業本部企画部部長)が参加。自治体、若手林業家、林業への関心を示す企業として自伐への関わりや今後の展望を報告した。
ディスカッションを受け、中嶋代表理事は「今日のパネラーは、今までの林業であればいなかった存在。林業の幅がこれだけ広がってきた。これは自伐の魅力。展開すれば、地方創生や福祉、環境保全にも繋がるかもしれない」と改めて期待を込めた。
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