田原祐子
人を育てるには、「言葉がけ」が重要
5月から6月にかけては、夏に咲く花の〝種蒔き〟に適したシーズンです。そして、夏の花の代表選手は、なんと言っても朝顔ですね。土の中に種を植え、毎日ほどよく水やりをして、ほどよく茎が伸びてきたら支柱で茎をささえ、手塩にかけて手入れするからこそ、やがて大きな花を咲かせ私たちを楽しませてくれます。
人を朝顔にたとえるとすれば、水の役割の一つは「言葉がけ」ではないかと思うのですが、その「言葉がけ」次第で人はやる気にもなるし、逆にひと言で、やる気をなくしてしまうこともあります。
言葉は、毎日何気なく使っているからこそ、注意したいポイントです。
人を育てる言葉とは?
人は誰しも、「承認されたい(認められたい)」という欲求を持っています。
日本ではどちらかと言えば上司が部下を「ほめる」というより、「厳しくしつける」という方式で育てきたように思いますが、特に最近の若手社員や女性はたちは、厳しい言葉がけや叱責をされると、萎縮したりやる気をなくしたりしてしまいます。
今、弊社では、大学教授をお招きして、若手人材や女性育成のための連続講座を行っていますが、先日、講師を務めていただいた、同志社大学の太田肇教授は、“ほめて育てる”ことの重要性についてお話しされました。太田教授の研究によると、同じ集団をほめて育てるグループと、特に意識してはほめないグループに分け実績を計測したところ、ほめて育てたグループの“実績”が明らかににアップしていたそうです。ほめることが実績に関係するとなると侮れません。
しかし、部下を「ほめて育てよう」と簡単に言うものの、自身がほめられるというよりむしろ厳しく指導された上司たちにとっては、「ほめるのは難しい」「甘やかしているのではないか?」と、なかなかハードルが高いものです。
今回のセミナ―で、太田先生が提案されていたのは「ありがとう」「すごい」「えらい」の3つのほめ言葉。たった3つでよいから意識して声掛けをすることだそうです。その際、『必ずしも心をこめなくてもよい』と説明されたので、大変興味深くその理由をお聞きしました。答えは「バレンタインの義理チョコと同じで、義理とわかっていても、もらって悪い気はしないから、とにかくほめる習慣をつけることが大切」なのだそうです。
人がやる気をなくす言葉 ≪モチベーションハラスメント≫
一方、これほどまで言葉が重要であることに上司はなかなか気づいていません。それどころか、むしろ部下を煽るような言葉を使ってしまい、部下を委縮させたり嫌な気持ちにさせてしまうのです。
例えば、5月11日号のAERAにて私が監修した『あなたの会社は大丈夫?こんな言動がモチベーションハラスメント(やる気を阻害し、悩ませる)』というコーナーでご紹介した〝モチベーションハラスメント〟ワードをいくつかご紹介しましょう。
×「俺みたいに部長になれるから、頑張れ!」「目標達成したら、ボーナスが上がるよ!」
今の若手社員は、昇進や賞罰でやる気は上がりません。そもそも、部長のように(忙しそうで、いつも疲れている)は、なりたいとは思っていないのです。まずは、部下がどんな時になるかを知ることです。
×大きな仕事をやっと終えたのに、「お疲れさま」のひと言が言えない。
部下が上司のために仕事をする時代は終わりました。太田先生の言う‘義理チョコ’ではありませんが、相手を労いやる気にさせ、たとえれば‘朝顔の水やり’と思って、せっせと言葉がけをしていただきたいものです。
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国際認定経営コンサルタント 世界46カ国が加盟する国際公認経営コンサルティング協議会の認定を持つコンサルタント(The Certified Management Consultant (CMC))。外資系人材派遣会社のセールストレーナー、経営コンサルタント会社の新規事業室長を経て、1998年に研修・コンサルティング業務を柱とする株式会社ベーシックを設立。独自の〝フレーム&ワーク〟メソッドによって、関係構築型で確実に実績を上げるコンサルティング、営業マン育成や同行訪問による現場での実践指導、時間短縮と業務効率化の両立を手掛け、これらを融合した人材育成の仕組みづくり、営業ノウハウの共有化、顧客データベース構築、マネジメントスキーム構築等の、経営指導を得意とする。特に住宅・リフォーム・不動産業界の現場に精通しており、地方の小さな企業から東証一部上場企業まで、営業戦略、事業継承、人材育成、新規事業立ち上げ、女性活躍推進等のコンサルティングやプロジェクトマネジメントでも、高い評価を得ている。オール電化の普及率を70倍にアップさせた「オール電化」の陰の仕掛け人でもある。著書には、「女性パワーで家は3倍売れる」(住宅新報社)、「女性客のハートをつかむ住宅営業必勝マニュアル」「住宅営業そのやり方を変えましょう」(実務教育出版)等13冊、業界誌への執筆多数。 株式会社ベーシック http://www.basic7.com/
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