14社・16人が参加した地域工務店ミーティングin 兵庫
新建ハウジング主催「地域工務店ミーティング in 兵庫」
新建ハウジングは3月3日、神戸市内で「地域工務店ミーティングin兵庫」を開催した。今回で第10回。兵庫県内から14社の工務店に参加をいただいた。各工務店の取り組みの概要とミーティングの内容を抜粋して紹介する。(文中敬称略)
工務店ミーティング参加者
- 大塚工務店[大塚工務店]代表取締役 大塚伸二郎さん
- 戎(えびす)工務店[神戸市灘区]代表取締役 戎 健太郎さん
- クレストホーム[神戸市西区]代表取締役 砂川 浩孝さん
- 大木本建設[豊岡市]代表取締役 大木本芳弘さん
- 日置建設[明石市]代表取締役 日置 尚文さん
- コタニ住研[三田市]代表取締役 小谷 俊仁さん
- ミヤシタ[神戸市北区]代表取締役 浮村俊夫さん
- ミヤシタ[神戸市北区]部長 岩谷彩織さん
- 里やま工房[豊岡市]代表取締役 池口 善啓さん
- ワーク・アンド・デザイン[大阪市]常務取締役 小角 昌さん
- ワーク・アンド・デザイン[大阪市]設計部 永井美穂子さん
- 無添加住宅[西宮市]経営企画部 上西 真弘さん
- ハウスプラン匠[宝塚市]営業部 吉田 隆志さんさん
- 山弘[宍粟市]代表取締役 三渡 眞介さん
- Labo[西宮市]取締役 肥田 浩さん
- 山田建設[豊岡市]専務 山田 要さん
現在の課題と取り組みについて
小角昌氏[ワーク・アンド・デザイン]:2020年に向けた各社の取り組みと、現在の課題を聞きたいと思い参加した。
砂川浩孝氏[クレストホーム]:何がいい住宅なのか、省エネ性能を高めるような基本的なレベルアップを図りながら、ずっと考えている。
山田要氏[山田建設]:この世界に入ってまだ浅い身の上で思うのは、職人の技の継承。目で盗んでみろ、というスタイルは若い人には馴染まないのでは。大工技術をどう伝えていくか、ベテランと若手が向き合うことが大切ではないか。ネットで見ても実際にやってみないと手に職はつかない。若い人の気持ちも汲んでもらえたらと思う。
大木本芳弘氏[大木本建設]:2020年には和室を完結できる大工がいなくなってしまう。真壁で柱を出してやるのが本当の家。職人の数は3分の2になってしまう。今、プレカットでただ叩くだけで、日本の住宅産業は本当にそれでいいのか、と感じる。しかし、生き残っていかなければならない。それにはどうしたら良いか、大きなテーマだ。特色のある商品をつくるなり、ブランディングをするなり、地元の工務店・職人組合の皆さんにも口をすっぱく話しているところ。地域的には夏は暑く、冬は雪が多い厳しいところ。気候風土に負けず、地域と共存できる家づくりをしている。
池口善啓氏[里やま工房]:但馬にはもう新築は不要。既存の家を壊したくない。しかし、そのままでは住みにくい。リノベーションに特化していく必要があると思う。誰でもできるようなリノベではなく、自社でなければできないリノベーションだ。どこのモデルハウスに行くかで、お客さんは選別される。工務店には、日本人のアイデンティティーに訴えるような見せ方があると思う。但馬は自然が豊か。窓から見える四季折々の景色を楽しむといった、家から広がるすべてを取り入れればいい。今は、リノベ現在の課題と取り組みについてーションが7~8割ぐらいだ。
日置尚文氏[日置建設]:リノベーションスクールの最終プレゼンを視察してきた。周囲は空き家だらけだが、こうした活動に取り組むことで活性化してきた。官公庁の方も多く参加されていた。明石でも事例はある。そこに入っていく余地があるだろう。
大木本:豊岡では空き家の取り組みは進んでいる。ロハス、自然栽培などのキーワードで、「和む」暮らしの提案など活用の幅は大きいのでは。
肥田浩氏[Labo]:みそづくりなどのイベントを開催している。ファンづくりと集客向けの2種類のイベントを設けている。生活を楽しんでもらえるとか、アレルギーミスをしない料理教室だとか。
上西真弘氏[無添加住宅]:まず自社名のブランド化をしていく。まだ無添加住宅のブランディングが十分とは考えていない。お客さんの認知もまだ足りていない。そこを強化してバックアップできれば。
工務店の役割について
編集部:県産材活用はブランド化になるか?
三渡眞介氏[山弘]:家としてどうかだ。宍粟杉を使っているとかは大した問題ではない。木の家が普通になってきている。
大塚伸二郎氏[大塚工務店]:なぜ宍粟杉を使うのか。自分なりの解釈・構築ができているかどうかをお客さんは見ていると思う。性能を担保しているのは当たり前。紀州の吉野杉も使うし、そこはこだわらない。ここでの住文化は東京より優れている自負がある。これをフルコースで見せて回る。
三渡:極上のものを使いますというより、新鮮な地元のサンマやイワシで良いものを自然に料理できる、という感覚が重要だろう。
大塚:モノからコトというように、暮らしをつかむ。材料に関して言うと、インターナショナルスタイルみたいなものがある。地域の工務店こそ、汎用の材料で建てるべき。どこにでもあるものを使うべきだ。いつでも、地元の材料で勝負するべきと思う。
浮村俊夫氏[ミヤシタ]:CO2の問題などを考えても、県産材活用の重要性をもっと訴えるべきではないだろうか。国策に期待しても難しい。人はトロとかヒラメのえんがわとかを食べたがるが、地元のものも負けていない。そういうところから工務店が説明できるようにすべきと思う。
小谷俊仁氏[コタニ住研]:今後はコラボとか、提携などを大事にしていかないとと思っている。ただ「子育てのための家」のテーマは変えない。子どもに自由に騒いでもらえる家をつくっていきたい。こっちの姿勢が変わると、お客さんの質も変わってくる。以前は100人いれば100人をお客さんにしようとしていた。いまは逆に、10人あるいは1人のお客さんに見つけてもらえばいい。最初は素材の違いだけだったが、違いを訴えれば訴えた分だけ人もやって来る。ないとアカンと言われる存在になっていくべき。そうなれば広告宣伝費は要らない。
池口:雪が降っても、家の中が暖かければ、雪の風景がきれいに見えてくる。そういう家づくりをしていかなければならない。
耐震改修には課題残る
浮村:(耐震について)正しい考え方を教えるべきだと思う。できるだけ共有できるものを地域内で連携を組んでPRしていければと思う。
日置:高齢化の方が特にリフォームされる。ヒートショックの軽減はもちろん、断熱と減築をあわせてやる。耐震等級1で1000万円ぐらい。インスペクションは20年前からやっている。ヘリテージマネジャーも試みているが、なかなか商売に結びつかない。建築士とかが、構造の人をパートナーに入れて対価をもらった中でやらないと。耐震改修そのものだけだと進まないと思う。
大木本:古い家だと耐震診断評点が0・3~0・4になる。0・7に持っていくのが大変。古民家に限って、限界耐力計算の特別な制度があって補助金が出ているが。
池口:無料で耐震診断するのは問題がある。不安を煽るのも問題。
戎健太郎氏[戎工務店]:阪神・淡路大震災の時は、盛土、切土による断層の発生した地域は、浜手の方が多かったはず。間口をむりくり広げた無茶な改装もよく見かけた。神戸はやはり土地代が高いので、建ててはいけないような土地にも建っている。
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