次の契約のために今がある
望月隆睦氏[望月工務店]:「こうした家に住みたい」という具体的なプランのあるお客さんは少ない。自分の思いをお客さんのために提案し、理解してもらうことが重要だ。集客は、今信じていることを継続するしかない。
遠藤:(住宅情報誌の発刊で読者から)2012年に携帯やスマホからのアクセスが17%だったものが、2014年46%、今年は52%に大きく拡大した。資料請求などによる集客は大きな転機を迎えている。
鈴木昌司:工務店は集客にこだわり過ぎていると感じる。集客がそのまま成約につながるわけではない。たとえば、当社は「今の家づくりは次の家づくりのため」と考え、現場見学会などのイベントをやる場合は、十分な家具を揃え、本棚には本を揃える。これができない中途半端な見学会を行うと、集客ができても、評判は上がらないと考えている。
蒔田義成氏[ダイバホーム]:当社のホームページの住宅写真は私が撮っている。どんどん自分たちが撮りたい絵を撮ろう、と。ただし家具を入れたりはしていない。そのため生活感が感じられず、どういう暮らしになるのか分からない面はあるのかなと思う。静岡は家具どころなので、家具関係の方々ともつながって、お客様に提供していく流れをつくりたい。
「コミュニティー道路」「共同菜園」などを配置
自然と調和するコミュニティーづくり
「暮らし空間」のイメージ
静岡県では「豊かな暮らし空間創生住宅地認定事業」として、地域コミュニティーの形成や景観に配慮した宅地造成計画を認定し、施設整備費に対して助成している。
特に新東名高速道路の開通などにともない、これまで人口集積が少なかった静岡県内陸部を活用し「災害に強い地域成長モデル」として新しいライフスタイルを実現する場を生み出すのがねらいだ。
認定されると市町の補助の1/2を上限1000万円まで助成する。対象は分譲事業者が行う道路や公園部分などの公共施設整備。
「暮らし空間」を家の2倍に
家と庭だけでなく、住まい手が共同利用できる菜園やコミュニティー道路などの「コモンスペース」も暮らし空間として取り込み、暮らし空間全体が家の延べ床の2倍以上の面積を持つことを要件とした。
さらに道路境界5m、隣地境界1m以上の壁面後退といったゆとり条件のほか、経年美化する住宅地の維持管理をねらいに組合の組織化なども要件としている。
すでに島田市では申請者の大河原建設による『しまだ あさひガーデンプレイス』として22区画の分譲プランが進行しており、住民による管理組合を組織し法人化する予定。事業者としてのメリットは県の広報で認知される機会が増えるほか、専門家のアドバイスが受けられる。
(静岡県くらし・環境部/続一暁主査)
しまだあさひガーデンプレイスコミュニティー道路イメージ図
『新建ハウジング・プラスワン2015年5月号』(2015年4月30日発刊)から。
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