住宅・建築分野を専門とする匠総合法律事務所(東京都千代田区)は6月2日、東京都内でセミナーを開催し、今期または次期国会での成立が見込まれる民法改正法案の住宅・建築などの業界に対する影響とその対策について解説した。
同事務所の秋野卓生代表社員弁護士は、今回の民法改正の大きな論点の一つとして、明治期から使用され続けてきた「瑕疵(かし)」という言葉が「契約不適合」に変わることを紹介。「ドラスティックに判断基準が厳しくなるわけではないが、契約内容への適合性が注文者と請負人の間で、より強調されるのではないか」との見通しを示した。
民法改正は法案成立後3年以内に施行される。施行までに取り組むべき対策として、契約内容を明確化させることが住宅・建築業界にとってトラブルへの実務対応になることを指摘。契約書の形式的な用語改訂だけにとどまらず、各社の業態に適した書式の作成や、パンフレット、ホームページ、各種カタログの改訂など「時間をかけて検討していくべき課題」とした。
そのほか、今回の民法改正によって、「追完請求権」(従来の瑕疵修補請求権。施主の請求権だけでなく、施主に不相当な負担を課さない場合、住宅会社が施主の請求した方法とは異なる方法で履行を追完する権利を規定)の創設、瑕疵担保責任の期間実質延長、時効期間の変更などが住宅業界にとって大きな影響となると指摘した。また、不特定多数を相手とする取引に利用される「定型約款」の規定が盛り込まれたことで、住宅業界でもエンドユーザー向けの保証書に定型約款を該当させるなど、メリットが出てくるのではとの考えを示した。
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