日米不動産協力機構(JARECO、東京都千代田区)が主催する「2015国際不動産流通フォーラム」が5月26日、都内で開催され、1908年に米国・シカゴで設立した同国最大の不動産業界団体、全米リアルター協会(NAR、米国・シカゴ)のクリス・ポリクロン会長が来日して基調講演を行った。
ポリクロン会長は「米国不動産市場の過去、現在、未来」と題して、リーマンショック以前から現在に至るまでの同市場の変遷を概説。中間住宅価格が暴落した2005年以降、米国政府が雇用創出につとめることで市場活性化を促したことや、ニューヨークやマイアミなどの都市が海外投資家によって活性化され様変わりしている現状を伝えた。
現在の米国の住宅ストック市場については、4割以上の住宅が1969年以前に建てられたもので、新築重視が続いた日本の市場とは状況が大きく異なることを指摘。その上で、「住宅というのは、我が国のアイデンティティの一部。古い家は省エネ性能が低いなど設備の問題もあるが、それ以上に新しい家では見えない魅力を求めて古い家を買う人もたくさんいる。米国人は家を所有することに誇りを持つ。アメリカンドリームとは、まさにそのこと。家は、買ったところで終わりではなく、長い年月をかけて育てていくもの」との考えを示した。
フォーラムを主催したJARECOの中川雅之代表理事は「アジア諸国からのメディアの取材で、バブルが崩壊したあとの日本の不動産市場への取り組みはどうなっているのかを頻繁に質問される。中国、韓国、台湾とも、近い将来、少子高齢化社会が訪れることが見えている中で、今後の不動産市場がどうなっていくのかを知りたがっている。そういう視点で、日本の市場は注目を集めている。なぜ日本の不動産市場をグローバル化しなければならないのか。具体的に対応していくことが必要だ」と語った。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。