東日本大震災で大きな被害を受けなかった国内の合板メーカーは、すでに一定の増産体制を整え、震災前を大きく上回るペースで供給を行っている。その動きを順次紹介していく。
●秋田プライウッド
秋田プライウッド(秋田県秋田市)は向浜第一、同第二、男鹿の3工場でフル生産体制に入った。震災前に比べ15%増となる月間4万6000立米の供給を目指し、24時間操業を行っている。
構造用合板12㎜と、同24・28㎜の厚ものが中心。現在のところ必要な電力・燃料の供給に問題はなく、各種原材料の確保にも支障はないとしている。
●新秋木工業
震災前に2~3割の減産を行っていた新秋木工業秋田工場(秋田県秋田市)も、ほぼフル生産に移行。月間55万枚(12㎜厚3×6版換算)だった供給量を70万枚に引き上げている。
同工場は型枠用ラワン合板と針葉樹合板を製造しているが、現在の情勢をかんがみ、構造用合板12㎜と同24・28㎜の厚ものに生産を集中。原木は秋田スギ、国産カラマツ、ロシア材などだが、現在のところ「調達に問題はない」(同社)としている。
ただし、今後の「東北電力の計画停電の動向が気になる」(同)という。
●新潟合板振興
新潟合板振興(新潟県新潟市)も震災前は減産を行っていたが、現在はフル生産に入った。シフトを変更し、ほぼ24時間操業の状態。月間3500~3800立米だった供給量を、生産能力いっぱいの5000立米に増やしている。
製造アイテムは3~30㎜厚の普通合板がメーン。造作・建具、下地用の合板で、仮設住宅需要に向けて4㎜、9㎜、12㎜厚を急ピッチに製造している。また生産ラインの設計上、増産対応はできないが、地元・越後スギの構造用合板もつくっている。
●大新合板工業
大新合板工業(新潟県新潟市)は、震災前に対し5%強の増産を図った。同社の主力は厚2・5㎜の3×7サイズ、4×8サイズなど、二次加工用の台板合板。生産ラインの設計上、針葉樹合板の増産はできないが、主力の台板合板で生産量を4月からアップさせている。
同社によると、復旧の初期は躯体の建築用途にかかる合板が求められるため、現時点で台板合板に引き合いがあるかはわからないという。しかし「その後、復興の段階に入ってきたとき、内装用・建具用に需要が見込まれる」(同社)とする。
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