セルロースファイバー断熱材のエコトピア飯田(本社:長野県)は、グラスウールなどの断熱材不足に関する本紙の取材に対し、瞬間的な対応だけにとらわれず、業界全体が中長期的視点をもって取り組む必要があるとの見解を示した。
同社にも震災後、セルロースファイバーへの切り替えを検討したいという問い合わせが増えている。現在は求める性能や家づくりの工法などを聞きながら、切り替えた際に各部位の納まりに無理が出ないかなどを一つひとつチェックしている段階。が、問い合わせの内容には温度差があり、全体的には各社とも様子を見ている印象という。
櫻井善實社長は「急場をしのぐことも大事だが、その次を考えると、代替製品が間に合ってよかっただけでは済まない。業界が『超党派』で情報公開し、日本の省エネ政策における断熱材の位置付けを再検討していく必要がある」と話した。
具体的には断熱材の合理的な生産や汎用性の向上をどう図るか。これらが住宅商品の差別化、工法の多様化、製品開発の複雑化のなかで、ともすれば見過ごされてきたと指摘する。
「どの断熱材がいいかといった話ではなく、一貫した技術の裏付けのなかで各種製品の性能を整理し、目指すべき省エネ建築の方向性に従って、それぞれの施工方法やディテールを標準化していく。こうした可能性を、設計者・施工者・製造者の垣根を超えて議論していくのが次のステップになるのではないか」とした。
地域密着のメーカーとしては、瞬間的に大口の注文が入っても即対応は難しいという。基本的には地元を中心とするリピーターへの安定供給が第一。「一気にシェアを伸ばす時代ではない。今回の資材ひっ迫問題を機に、大きな経済循環と地場の小さな経済循環がうまくバランスするしくみを目指していくべき」とする。
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