建築研究所は、新築を対象に2009年6月に始まった長期優良住宅の認定制度を既存住宅にも広げるための検証補助事業「長期優良住宅化リフォーム推進事業」について、事業者からの応募提案の促進をめざしたシンポジウムを企画、2月25日東京都文京区のすまい・るホールで開催し、約250人が参加した。
シンポジウムでは国土交通省担当官が、既存住宅を新築同等の「長期優良住宅」とするリフォーム工事に対して最大200万円補助する同事業の趣旨やこれまでの採択状況、実際の活用事例などを紹介した。
また今年度は既存住宅単体を高性能化したリフォーム工事に補助する「評価基準型」に加えて、生産・流通体制などソフト提案を含めた新しい業界のビジネスモデルを提示する「提案型」を創設したが、実務者からの応募が136件、採択6件と少なかったことから、シンポジウムでは評価委員会から改めて「提案型」枠を創設した趣旨と今後期待される提案について説明した。
評価委員の東京大学大学院・松村秀一教授は、建築業が「ハコの産業」から「場の産業」への大きな転換期に差し掛かっていると指摘。「ハコの供給はすでに市場に十分行き渡った状態にあり、今後はハコを使ってより豊かな暮らしをする場を提供する産業への転換が求められている」とした。
また「場の産業」に臨むにあたって事業者に求められる意識転換として「費用対効果」を挙げ、「『要望通り工事をしたら200万円かかった』では済まされず、外食や旅行などと比べても『200万円を住空間に投資した方がより豊かな暮らしが得られる』と納得できる提案が求められる」と強調した。
このうえで松村氏は「工務店・不動産・金融の各プレーヤーが既存の枠組みに囚われず、流通・金融・技術的性能向上をうまく組み合わせて、場の産業をいかにスムーズに再構築していくか。新しいビジネスモデルが求められており、新領域進出に意欲のある企業を応援していきたい」と「提案型」枠の積極的な応募に期待した。
同事業の今年度の「提案型」採択事業6件の概要はこちら。同事業は来年度も継続実施される予定で、募集期間は4月から約1カ月間となる見込み。
また同シンポジウムは3月5日(木)に大阪会場でも開催される予定。定員350名。申し込みは建築研究所ホームページから。
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