五十嵐 拓
前回の「キッチン」につづき、今回は「浴室」「洗面所」の撮影方法です。本講座で紹介するテクニックを使い、物件の魅力を最大限に伝える写真を撮影しましょう。
1.浴室
まずは、こちらの写真をご覧ください。
浴室の写真でよく見かけるのが、このように自身の目線の高さで正面に構えて撮影した写真です。浴室の雰囲気を伝えるには有効ですが、この写真だけでは、浴室全体の広さ、浴槽の大きさ等、ユーザーが気になるポイントを伝えられません。
そこで、浴室の場合には、この写真に加えてもう1枚、別アングルからの写真を撮影し、2枚セットでサイトに掲載することをオススメします。
2枚目の写真はこちらです。
撮影方法は、カメラを自身の頭上まで持ち上げ、レンズを下に向けて撮影します。
不安定になりやすいため、踏み台を用意するのも手です。
こうすることで、浴槽の大きさ、浴室の広さが明確に分かり、1枚目の写真と併せて、浴室の魅力を最大限に伝えることができます。
2.洗面所
洗面所の写真でよくあるNG写真は、このように洗面台だけをフォーカスして撮影した写真です。
建売の場合、洗面台だけでは他物件との差別化は難しく、魅力も伝わりません。
そこで、洗面所の写真では、洗面所の中で洗面台、洗濯機置き場はどこにあるのか、浴室への導線はどうなっているのか等、全体感を伝えることを意識しましょう。
それらを踏まえた写真がこちらです。
「全体感」は、物件のどの個所を撮影する際にも共通するポイントです。
撮影の際には、ユーザーの立場になって、物件のどんなところが気になるか?どんな写真があると良いか?を考えるとともに、皆さん自身がユーザーにどんな特徴を伝えたいのか?も考えて撮影しましょう。
一方、洗面台だけを「設備」として伝えたい場合には、【洗面所-A】の写真だけでは詳細が伝わらないため、もう少し近くに寄り、数パターンの角度から撮影してみてください。
また、注文住宅の場合には事例写真も併せて撮影することをおすすめします。
事例には、人が入ることでより印象に残る写真になります。
浴室の場合は、例のようにお子様に入ってもらって撮影をしましょう。サイズ感(子供が入ることで広く見えたり)や子どものはしゃぐ様子などが写真から想像できるとファミリー層には好印象を与えます。
最後に、さらにユーザーの関心を高める写真の有効な使い方をお伝えします。
お問い合わせや資料請求があったユーザーへの返信メールや郵送資料には、そのユーザーが気にかけているポイントに合わせて、まだサイトに掲載していない写真を送ってみましょう。浴室であれば、サイトでは全体感が分かる写真を掲載しているので、シャワーヘッド、備え付けの棚(タオル収納棚など、こだわりがある場合は特におすすめ)、床下収納など細かいスペックの写真を送ります。そうすることでユーザーは全体感~細部までをくまなく把握でき、情報提供をしてくれた担当者の方へ良い印象をもっていただけます。それが、他社との差別化となりメールの返信率や来店・来場率の向上につながります。
いかがでしたでしょうか。本コラムは全5回で、撮影時の様々なポイントお伝えしてきました。特に難しいテクニックは不要で、設定、撮影アングル等を工夫するだけで見違えるような写真を撮ることができます。
・露出補正を使い、本来の明るさで撮影する
・まずは全体像が伝わる写真を撮影し、細部の写真は予備で撮影する
・施主さんを登場させることで事例写真の印象が格段にUPする
この3つのポイントを意識し、みなさまの仕事にぜひご活用ください。
総掲載物件数No.1(※フジサンケイビジネスアイ調べ(2014年3月31日掲載))の不動産・住宅情報サイト『HOME’S』にて、年間2000人の受講者を誇る「HOME’Sカレッジ」の講師を7年にわたり担当。「HOME’Sカレッジ」では、『HOME’S』の運営でこれまで培ってきたノウハウを生かし、メール対応、インターネット広告の活用等、業界に特化した幅広い知識で、課題解決をサポートする。 「HOME’Sカレッジ」:http://business.homes.jp/college/d01/
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