武田純吾
近年アーキテクトビルダーが流行になっています。しかし、現状ではアーキテクトビルダーは棟数がなかなか上がらないという問題が多くの会社であります。
もちろん一部のアーキテクトビルダーは成功しています。今回、その理由を分解していこうと思いますが、大きな枠として、設計士には家を作品だと思っている方が多くいらっしゃいます。
建築家やアーティストと言われる人はそれでいいかもしれませんが、企業で働く設計士としては、作品ではなく、お客様が今後一生住む家を設計しているという意識が欠如しているのは、とても残念なことです。
しっかりと住んだ後のことをイメージして提案している場合はよいのですが、それを考えずに提案をしている設計士の方も多くいるのが現状です。
しかし、これは一設計士だけの問題ではなく、企業としても問題になります。設計士の判断基準は個人の主観が大半ですが、しっかりと企業理念を浸透させて判断基準を理念にまで落とし込む必要があります。
設計士はクリエイティブだから理念の浸透は重要視していないという企業もあると思いますが、クリエイティブと自由は違います。企業の一員である限り、会社の方向性やデザイン・考え方をしっかり理解した上で設計をしないかぎり厳しいです。
よく、「アンテナを立てる」という言葉がありますが、アンテナを立てる方法は1つです。理念やビジョンを意識することによって選択的知覚が働いて、他人には入ってこない情報がどんどん脳に入ってきます。
理念が人材を育成するということをしっかり理解することです。そして、理念は額に入れても、毎日唱和しても会社は変革しません。判断基準(意思決定)にまで落とし込むことが必要なのです。そして、理念が落とし込まれたら認知的不協和(理想の自分と今の自分とのギャップ。年間20棟になりたい営業像と今の自分)を生ませて他責(人のせい・外部環境のせい)ではなく自責(自分がまだまだだと)へと導くように仕向けていきます。他責になったらただの不平不満に変わり人は成長しないのです。
よく成功するには、「誰かが決めた」「やらされている」ではなく「自分で決めた」「自分でやりたいと思える」が大切と言いますが、上記のことを指します。上記ができれば人は自然と成長します。
それを変えることは大変なのですが、企業設計士として、しっかりと理念を理解し、理念の中でクリエイティブな設計をすることで企業は変わっていきます。今は、新卒を採用して教育していこうという流れですが、その新卒もしっかりと教育をしていかなければ人財にはなりません。
まずは、経営理念を覚えているかの確認。そして、理念の意味を聞いてみるとよいかと思います。そこで、理解していなければ改善していきましょう。未来の優良企業を目指して、企業としての体質を強くしていくことを願っています。
武田純吾 Takeda Jungo 株式会社シンミドウ 営業戦略・ブランディングコンサルタント 大学卒業後、株式会社シンミドウに入社以来、住宅業界に特化し全国にて業績UPコンサルティングを手掛けてきた。実務派であり、経営者と理論だけを語るのではなく、経営者・現場スタッフと共に成長するSTYLE、企業風土にあった営業手法を創り上げ、成功事例を基に全てオーダーメイドで業務の提供をしている。また、「結婚式と同じ感動を」をテーマに感動の引渡しプロデュースにて約7割の施主様から感動の涙を頂いている。コンサルティング内容、引渡しプロデュースにて高い評価を得ている。
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