五十嵐 拓
前回のリビング・洋室・和室につづき、今回は「キッチン」の撮影方法です。本講座で紹介するテクニックを使い、物件の魅力が伝わる写真を撮影しましょう。
まずは、こちらの写真をご覧ください。
自然光が入り、とても明るく撮影できていますが、実は改善すべきポイントが全部で5つもあるNG写真です。
では改善ポイントを見てみましょう。
1.カバン
キッチンに限らず、カバン、紙袋、靴等、何気なく置いた撮影者の荷物がそのまま写真に入り込んでしまうことが良くあります。せっかくきれいに撮影した写真に余計なものが写っていては、物件の魅力が半減してしまいます。
完成済物件の室内写真を撮影する場合、現地に到着したら、まずは荷物や靴は棚の中の見えないところに入れるようにすると良いでしょう。
2.書類
キッチンには、設備の取扱説明書等、様々な書類が置いてあることがあります。これらはきれいに整頓して並べるのではなく、写真には写らないよう、すべて見えない位置に移動しましょう。写真は、その家での暮らしをイメージさせるためのものなので、実際生活をするときにその場所にはないものを写す必要はありません。
3.蛇口とコックの向き
とても細かい点ですが、蛇口とコックの向きは正面に揃えましょう。写真のように不揃いな向きでは、新築物件にも関わらず、使用感がある印象を与えてしまいます。ご注意ください。
4.窓
キッチンに窓があることは、採光面でも換気面でも、アピールポイントとなります。この写真では、システムキッチンを中心に撮影したため、残念ながら窓は一部しか写っていません。充実した設備を伝えることも重要なポイントですが、キッチン全体の雰囲気を伝えることも意識し、窓全体が写るように撮影しましょう。
5.上部の収納・換気扇
この写真では、上部の収納・換気扇はほとんど写っていませんが、これらもキッチンの雰囲気を伝える重要な個所です。お客様が物件を見学するとき、こういった上部の収納スペースを開けて見ている方も多いのではないでしょうか?収納スペースは特に気にされる方が多いため、キッチンのアピールポイントとして、必ず写るように撮影しましょう。
それでは、最後に、NGポイントをすべて改善した写真をご覧ください。
さきほどの【A-1】のように、システムキッチンだけにフォーカスするのではなく、キッチン全体の雰囲気が伝わるよう、少し離れた位置から撮影しましょう。
キッチンの設備を特にアピールしたい場合には、このような全体写真に加えて、収納やコンロ等その個所をピンポイントで写した写真を掲載するのも有効です。
最後に建築事例用の撮影のポイントをお伝えいたします。
いかがですか。こんな写真が掲載されていたら、とても印象に残りますよね。事例において、キッチンのみの写真では無機質に感じたり、差別化することも難しいです。
こだわりのつまったキッチンでご家族、ご夫婦が楽しく過ごす様子を掲載することで、「こんなキッチンで自分も料理をしたい」「子どもと一緒に料理を楽しみたい」といったワクワク感や生活のイメージにつながります。可能であれば、設備の説明や使い勝手など施主様のコメントを添えるとさらに良いですね。
今回の講座はここまでです。次回は、浴室、洗面所の撮影方法をお伝えします。ぜひご覧ください。
総掲載物件数No.1(※フジサンケイビジネスアイ調べ(2014年3月31日掲載))の不動産・住宅情報サイト『HOME’S』にて、年間2000人の受講者を誇る「HOME’Sカレッジ」の講師を7年にわたり担当。「HOME’Sカレッジ」では、『HOME’S』の運営でこれまで培ってきたノウハウを生かし、メール対応、インターネット広告の活用等、業界に特化した幅広い知識で、課題解決をサポートする。 「HOME’Sカレッジ」:http://business.homes.jp/college/d01/
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