五十嵐 拓
今回から、室内写真の撮影方法を解説していきます。室内写真は、撮影の簡単なテクニックを身につけるだけで、仕上がりに大きな違いが出ます。本講座で紹介するテクニックを使い、物件の魅力が伝わる写真を撮影しましょう。
1.リビング編
リビングは物件の中でも一番印象に残るお部屋です。できる限り全体像が分かるように撮影しましょう。
まずは、こちらの写真をご覧ください。
これは大人の目線の高さでカメラを正面に向けて撮った写真です。
この写真はどうでしょうか?
適切な明るさに設定されており、リビングからカウンターキッチンまでの様子がきちんと分かりますね。
では、もう一枚写真を見てみましょう。
さきほどの写真(リビング-1)と同じリビングを撮影したものです。
床、カウンターキッチン、そして、天井の高さ、ロフト部分の様子までがよくわかる写真になっています。
さきほどの写真でもきれいに撮影ができていますが、目線の高さで撮影すると、この物件の魅力の1つである天井の高さやロフトまで写すことができませんでした。
このように撮影するアングルを少し変えるだけで、より物件の魅力を引き出す写真になります。
撮影方法は、カメラを床につけて(カメラの固定ができ、ブレ防止になります)、レンズを斜め上向きに設置し、下から見上げるように撮影するだけです(図:撮影方法 参照)。
一方このアングルで撮影する場合、床の色味や模様まで写らないことがあります。
そのため、リビングの写真は「自身の目線で撮影した写真(リビング1)」+「カメラを床につけて、下から見上げるように撮影した写真(リビング2)」の2つのアングルから撮影することが理想的です。
◆洋室・和室編
次に、洋室と和室の撮影方法です。建売物件の場合、家具が何もない状態での撮影が多くあります。そんな中で撮影する写真は個性が出しづらく、どの物件も同じ印象になりがちです。
しかし、そんな洋室も少しだけ撮影方法を工夫するだけで、部屋の広さや奥行がきちんと伝わる写真となり、他物件との差別化を図ることができます。
まずは、こちらの写真をご覧ください。
洋室も和室も、目線の高さでカメラを正面に構え、撮影したものです。壁や天井が写真の多くの部分を占めているため、この部屋がどれくらいの広さなのか、写真だけでは分かりづらくなっています。
では、次の写真をご覧ください。
アングルを変えて撮影した写真がこちらです。
どちらの写真も、さきほどの写真(洋室-1、和室-2)に比べて、床を写した範囲が広くなっています。
これはカメラを自身の目線よりやや上の位置(おでこのあたり)から下に向けて撮影をしています。
このようなアングルで撮影することで、床を手前から奥までしっかりと写すことができ、その部屋の奥行と広さが伝わる写真を撮影できます。
◆注文住宅事例編
最後に注文住宅の事例写真について見ていきましょう。
注文住宅事例の場合、「実際にその家に暮らしている」イメージを与えることで、事例を閲覧しているユーザーの「こんな家に住んでみたい」、「こんな暮らしをしてみたい」という夢が膨らみやすくなります。
そのためには、この写真のような、インテリアを入れた撮影が有効です。
施工主様が引っ越しをされたタイミングに撮影できるようお願いしておくのが理想です。
また、協力が得られれば、施工主様に登場いただくこともご検討ください。
人が写っている写真はより印象に残りやすく、建築会社と施工主様の良好な関係性も伝えることができます。顔出しでの撮影が難しい場合は、後姿のみの撮影等、顔が写らないことを条件にお願いができるといいですね。
完成後、何もない状態で撮影した写真はもちろん必要ですが、事例だからこそ、ぜひ住まいのイメージを伝えるように撮影・掲載をしましょう。
今回の講座はここまでです。
次回は、住まい選びにおいて重視されやすい「キッチン」の撮影方法をお伝えします。
ぜひご覧ください。
五十嵐 拓 Igarashi Taku 株式会社ネクスト HOME’S事業本部 総掲載物件数No.1(※フジサンケイビジネスアイ調べ(2014年3月31日掲載))の不動産・住宅情報サイト『HOME’S』にて、年間2000人の受講者を誇る「HOME’Sカレッジ」の講師を7年にわたり担当。「HOME’Sカレッジ」では、『HOME’S』の運営でこれまで培ってきたノウハウを生かし、メール対応、インターネット広告の活用等、業界に特化した幅広い知識で、課題解決をサポートする。 「HOME’Sカレッジ」:http://business.homes.jp/college/d01/
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