安齋好太郎
人間は知恵をつけ、自ら住む場所の工夫をしてきた。
住宅環境はとても素晴らしくなった。
冬でも家の中ではTシャツで過ごせるといった時代だ。
しかし世の中は省エネ、再生エネルギーの活用というのだから根本的に面白い(皮肉)。
最近の家づくりと、時代の背景は少し似ていると思う。
電車の中で携帯電話を注意する人がいなくなっている。
いい気持ちはしないが別に触れるほどの問題ではないといったところか。
はたまたこれ以上せわしい日々になれば、更に無関心な世の中になるのではないか。
どちらにしても、現代の世の中は、各個人の尺度に向かっている。
日々、新しい家が建っている。
家は建っているが自然は作られていない。
今まで景観を大事にしてきていた集落に、急に新しい家が出来る。
最近では良くありがちな光景だが、昔はそこにあるべき姿で作られていた。
環境や文化は一切無視。
季節関係なく快適過ぎる暮らしの『Tシャツハウス』ができるのである。
『Tシャツハウス』が悪いとは思わないが、『住む』という事の意味を自分の尺度だけで見るのではなく、少し周りの景色や住み方を覗いてみる事でも、環境と共存することになるのではないだろうか。
住み続けると言う事は、そこにカタチや記憶を残すこと。
将来の風景を残すために、そこにあるべき姿の建物を。
そして人と人との繋がりを大切に考えたものづくりをしていきたい。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。