匠総合法律事務所・秋野卓生弁護士 特別緊急寄稿
九州電力は9月24日、今後九州全域において10kW以上の太陽光発電システムの接続の回答を保留すると発表した。新規受け入れが事実上中断されるかたち。この動きは北海道、東北、東京、関西、四国、沖縄の各電力会社にも拡大している。当面、家庭用の太陽光(10kW未満)は対象外だが、10kW以上のシステムを取り扱っている事業者の困惑は大きい。秋野卓生弁護士に予想されるトラブルと対応策を聞いた。
九電の対応は適法
電力会社との契約は、太陽光発電システム設置工事の完了までにすればよいと考えていた工務店が多い。こうした工務店から「すでに契約を締結してしまったお客様(未着工)にどう説明したらよいか」「着工している物件でお客様から工事中止を求められているが、どう対応したらよいか」といった相談が増えている。
再エネ特措法5条1項3号では、電気事業者は経済産業省令で定める正当な理由がある時には接続の請求を拒絶できる。この「正当な理由」には、余った電力を安定させるための「調整力不足」も含まれると考えられている(市村拓斗氏、NBL1009、27)。今回は、電力会社が「調整力不足」を理由に接続の請求拒絶の検討を行っていると思われる。
契約済み顧客とのトラブル
【想定事案1】
10kW以上の太陽光発電システムを搭載した住宅商品を販売し、顧客と契約した。まだ設計途中の段階だ。
お客様から「対応が遅かったから巻き込まれた」との指摘を受ける可能性がある。これは太陽光に多いトラブル。負担金請求書送付未了の案件も対象となっている。申し込み済みでも安心できない。この場合、文書をもって状況を説明することをお勧めする。
【想定事案2】
10kW以上の太陽光発電システムを設置する建築中の物件について、今回の九州電力の回答保留の対象となった。お客様から工事を止めてくれと言われている。
この場合、このまま工事を進めると無駄な太陽光発電システムを設置してしまう可能性がある。それゆえ、お客様と協議の上で進め方を決定すべき。なお売電収入を見込んでローンを組んでいる場合はお客様から損害賠償請求を受ける可能性があり、個別の対応が必要になる。
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