TOTO、大建工業、YKK APの3社よるリフォーム事業者ネットワーク「リモデルクラブ」が今年、発足20周年を迎えた。
TOTOが新築依存の経営体質を見直し、増改築への転換を図る「リモデル宣言」を発表したのが1993年。その翌年に施工店組織としてリモデルクラブを創設すると、当初から600社が加盟した。2002年のTDYアライアンス以降は、従来の単独商品提案から空間提案へと移行。2003年に「リモデル新宣言」を掲げ、困りごとを解決する修繕的なリフォームから、住まい手の夢を実現するリフォームへと大きな変化を遂げた。
リモデルクラブは、加盟店独自の取り組みによって発展してきたという側面をもつ。その代表的なものが、加盟店が地域ごとに集まって勉強会などを開催して提案力や施工力を磨くとともに、共同で集客・営業を行う「リモデルクラブ店会」の活動だ。メーカーからの押し付けではなく、加盟店主導で自主的に運営している点が大きな特徴だという。
全国に先駆けて1996年に「神奈川店会」が誕生。県内の複数のリフォーム店が集まって手を組むことで、地域でのリフォーム需要の顕在化に着手。2001年には[販促、商品、IT、バリアフリー]の5つの委員会を発足、イベントの共同開催などもスタートさせた。8社合同のOB顧客向け感謝祭はいまでも続いており、今月6・7日にTOTO横浜港北ショールームで開催した「秋のお客様感謝祭」は37回目を数えた。
この神奈川での成功事例を水平展開するかたちで2004年から地域の店会活動が全国に広がり、施工勉強会や女性部会などの分科会活動がさかんに。
さらに、2007年からは店会同士の横の交流もスタート。お互いの営業スタイルや苦労話を披露し合うことでつながりを深め、東日本大震災後は群馬店会が福島店会にだるま神輿(みこし)と応援の横断幕を贈るなどリモデルクラブならではの絆も生まれているという。現在104店会が活動中だ。
リモデルクラブの現在の加盟社数は5000社を突破。
今後はTDYのコラボショールームを活用した空間のワンストップ提案に注力。2016年春には名古屋に中部圏初のコラボショールームを開設する。
とくにアクティブシニア層を対象にした「備えるリモデル」を強化したい考え。楽しいセカンドライフと将来への備えを両立するリフォームを提案するもので、具体的な商品としてはTOTOがシステムバス「サザナ」を、大建工業が「引きドア」を、YKKAPが玄関引戸「れん樹RH」をアピールする。
また2014年度は、3社共同による恒例のリフォームコンテスト「TDYリモデルスマイル作品コンテスト」や営業実績の高い企業を表彰する「TDYグリーンリモデルセール」の表彰式をシンガポールの有名ホテル・マリーナベイサンズで開催し、加盟企業の販売意欲向上と売上げ拡大を後押しする。
1999〜2011年の12年間、神奈川店会の会長を務めたリフォームデザイン・中山信義社長(ジェルコ会長、ベターライフリフォーム協議会副会長)は店会活動の歩みを語った。
「リフォームは各社各様のスタイルがあり、これが正解だという“経営の王道”がない中小事業者向きの業態。そこにリフォームビジネスの面白さがあると思う。
神奈川店会発足当初は、加盟社がお互いをライバル視してけん制し合う雰囲気があった。けれども次第に、地域の潜在需要を掘り起こすにはどうすればいいかを話し合ったり、委員会活動を通じてみんなで成長しようという機運が生まれていった。
大きな転換点は2003年。リモデル新宣言を機にリモデルクラブが爆発的に活性化したのを受けて、店会活動にも火がついた。そのひとつが、2004年に8社共同で始めたOB限定感謝祭。OB限定にすると集客数がそのまま各社の販売力を反映することになるため、いい刺激となる。これを37回続けて来られたことは、大きな自信につながっている。そもそもクレームが多い会社なら、OBのお客様を招待すること自体難しいだろう。
今後のリフォーム業界の課題は、技術力、提案力、デザイン力を高いレベルで身につけること。「リフォーム」より一歩進んだものが提供できなければ、お客様の満足を得ることは難しいからだ」
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