パッシブハウスジャパン・東北芸術工科大学と宮崎県内の木材生産・加工業者でつくるチーム宮崎は、使用部材すべてに国産スギ材を使った室内間仕切りキット「ニコニコフレーム」を開発、今後さらに屋外用仮設住宅の開発を急いでいる。
「ニコニコフレーム」は、間口・高さ・奥行がそれぞれ2・5M×2・5M×5M(メートル)、広さ約7・5畳の空間。木材は宮崎県産のスギ材を使用。あらかじめプレカットされた105ミリ角の木造軸組材を金物とドリフトピンで接合し、間伐材を利用した厚さ15ミリの台形集成材パネルをビス留めする。供給ひっ迫する合板は使わない。
フレームを組立てたままトラックの荷台に載せて運搬できるように間口幅を2・5メートルに設計。部材はあらかじめプレカットされているため現場加工は不要。使用工具はドリフトピンを打ち込むハンマーとパネルを留めるインパクトドライバーのみで、素人でも6人でかかれば2時間程度で設営できる。木の断熱性や質感を活かし、プレハブ住宅にはない居住性を特徴とする。
販売価格は、プレカットされた軸組フレーム単体で13万円、壁パネル付きで18万円、床・壁パネル付きが23万円を予定。現在一日30棟分を供給できる体制。
キットの開発は、パッシブハウスジャパン代表理事で東北芸術工科大学建築デザイン科の客員教授の森みわ氏が発案し、各組織に所属するメンバーと資材を供給するメーカーの担当者が意見交換しながら製品化にこぎつけた。プレカット部材はチーム宮崎の(株)川上木材・ランバー宮崎協同組合・(有)サンケイの3社、金物はグランドワークスが供給する。
今後さらにフレームを連結させ、小屋組みと床組みを追加することで、屋外用仮設住宅としての開発を急ぐ。すでに屋外用を視野に入れたオプションとして、厚さ80ミリの積層段ボール断熱材、木製ペアガラスなども準備中。水周り設備や配管工事を除いた建物単体の価格は100万円以内におさまる見込み。現在福島県、宮城県、岩手県で開始される仮設住宅の供給事業者にも、パッシブハウスの会員企業を通じて申請する計画だという。
森氏は「いま全国各地で多様な木造仮設住宅キットを開発し、手頃な価格で供給していくことは木造住宅に携わる者の使命。全国のつくり手に同様の取り組みを促すきっかけになれば」と話している。
フレームの設営の様子はパッシブハウスジャパンのホームページから。
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