国土交通省の「建築基準法の見直しに関する検討会」(座長:深尾精一首都大学東京教授)は10月19日、11回目の会合を開き、建築基準法の当面の見直しに向けた方向性の最終とりまとめについて検討した。当初予定になかった11回目の会合でも、表現をめぐる活発な議論が交わされたが、座長案として提示された内容で大筋、合意。当面の対応として、技術基準検討体制の整備や制度見直しの検討などに早急に取り組むことなどを提言した。
この検討会では、当面の課題として(1)構造計算適合性判定制度(適判)のあり方、(2)建築確認審査の法定期間、(3)厳罰化―の3つを中心に、建築基準法と関連法制度の見直しの方向性を討議してきた。ただ、いろいろな立場から意見が対立する場面も多く、また、これまでのように事務局である国交省が方向性を出さなかったこともあり、議論が紛糾した。取りまとめは、両論併記を採用するなど、多くの意見があったことを反映させ、議論の経緯を表現に取り入れた形となった。
当面の3つの課題に関する取りまとめの概略は以下の通り。
適判の対象範囲については、技術的な専門の委員会を設け検討し、そのうえで制度見直しを検討するよう提言。また、適判と建築確認のワンストップ化については、第三者性を確保するための体制・実施方法などを検証した上で判断することが望ましいとした。伝統的構法の扱いに関しては、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会での検討成果を踏まえ、必要な措置を検討すべきとした。
建築確認審査の法定期間短縮については、具体的な方向性は示さず、さまざまな意見の併記にとどまった。今年6月の運用改善後の実態を踏まえ検討するとともに、審査の迅速化に向けて、設計者側、審査側の取り組みが促されるよう、期間の実績を開示する仕組みなどの導入を検討すべきとした。
厳罰化についても、罰則を強化すべきとの意見、強化しなくてもいいとする意見などを併記。そのうえで、他制度の水準を考慮しながら、行政処分による制裁強化など、他の不正発生防止策も含めた広範な検討が必要だとした。
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