ヤマダ・エスバイエルホーム(大阪市北区)とバイオニクス(大阪市中央区)および日本工学院専門学校(東京都大田区)は6月24日、血流認証技術を活用した住宅総合制御システム「Fin-Key(フィンキー)」を共同で研究・開発することを東京都内で発表した。
同システムは、バイオニクスの特許商品である指の血流認証で住宅のロックを解除する「キーレスエントリーシステム」に家電制御システムを融合させ、個人認証の強みを加えた新たなHEMSと呼べるもの。帰宅時に個人を特定できることで、子どもが帰宅した際に両親に確認メールを自動送信したり、1人でいる際にはガス機器の使用を制限するなどといった制御が可能になるという。
ヤマダ・エスバイエルホームの松田佳紀代表取締役は、「個人が認定できれば、小さいお子さんはもちろん、お年寄りの見守りなど、HEMSとの連携で様々な安心と安全のサービスが提供できるようになるだろう。産学連携でやるということで、メーカーはもちろん幅広く活用していただいて発展を図っていきたい」と話した。
価格や販売時期については、「家庭用なので、入退室部分のハードとシステムについては、30万円ぐらいに抑えて販売したい。そこから連携する家電などによってオプションとして加えていく形。色々な可能性のあるシステムなので提案を取り入れつつ、年内には開発を終えたいと思っている」とした。
バイオニクスの須下幸三代表取締役は、「指がキーになるということで、従来のキーであれカードであれ、外出の際には何か携帯しなければならないということをなくす技術に取り組んできた。お子さんに鍵を持たせなければならない不安など、女性からの要望が強い。当社の技術をより多くの人の安心・安全のために活用できれば」と話した。
システムの流れは、(1)近赤外線LED(発光ダイオード)で指を透過 (2)小型カメラで画像を取り込む (3)指の中を走る血管画像を、バイオニクス社独自の画像処理技術を用いて鮮明な血管画像を抽出 (4)独自のアルゴニズムで個人認証するという仕組み。同システムが指紋認証より優れている点として、病気などで指紋が変わっても影響を受けないことや、複製が非常に困難であることを挙げた。バイオニクスの血流認証システムはすでに大手製薬会社や大手銀行など370社、住宅では、マンション60棟以上、約9000世帯以上で導入実績があるという。
ヤマダ・エスバイエル執行役員・設計技術統括部藤本和典さんは、「現段階では、積極的にどのメーカーとも連携できるような方向性で進めていきたい。総合制御システム部分で制御するか、メーカーの家電の方で制御するかなど、互いにブラッシュアップしながらより多くの有益なアイディアが提案できれば」とした。
日本工学院専門学校の千葉茂校長は、「本学にはスマートハウスの実験棟があり、研究実績は豊富なので連携できる点が多いと思う。また、ぜひ学生のアイディアも取り入れてもらいたい」と話した。
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