LIXIL住生活財団(東京都江東区)は、次世代のサステナブル住宅を模索・研究する「第4回LIXIL国際大学建築コンペ」の公開審査会を4月25日に都内で開催した。世界9カ国・12大学の中から最終審査に進出した上位3大学のプレゼンテーションが行われ、最優秀賞にカリフォルニア大学バークレー校(米国)の「NEST WE GROW」が選出された。最終審査に進出したのは同大学のほか、オスロ建築デザイン学校(ノルウェー)と東京農業大学。
今回学生たちが挑戦したのは、「プロダクティブ・ガーデン」をテーマに、設置予定地である北海道大樹町の自然を「五感を使って味わえる」ことで「人が集う場所」にする建築の提案。
審査会では、審査委員長の隈研吾氏(東京大学教授)、審査委員の野城智也氏(工学博士、東京大学副学長、東京大学生産技術研究所教授)、進士五十八氏(造園家・農学博士、東京農業大学名誉教授)、小山薫堂氏(放送作家・脚本家、東北芸術工科大学教授)によって議論が行われ、カリフォルニア大学バークレー校の「NEST WE GROW」とオスロ建築デザイン大学の「An endless path for five senses」が同点で、再審査となった。
カリフォルニア大学バークレー校の「NEST WE GROW」は、建物の中でプランターによって多様な野菜などを栽培できるよう設計され、ランドマークとして人が集い農業を見つめ直す機会となる点や、建築としても美しい点が高く評価された。
隈研吾氏は、「ランドスケープとしての建築が、環境にどのような影響を与えるのかという課題を解決するだけでなく、その先の植物と人間の関係、あるいは生物と人間の関わりといった問題にどう向き合うのか。そうした哲学的なところに踏み込むことで、非常に面白いコンペになった。ただ建てるだけではなく、今後のプロセスが大事だ」と話した。
今後、最優秀賞を受賞した「NEST WE GROW」は、隈研吾建築都市設計事務所のサポートのもと、大樹町のLIXIL住生活財団の研究施設「メム メドウズ」敷地内に2014年11月に竣工する予定。
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