「無印良品の家」ネットワークを展開するMUJI HOUSE(東京都豊島区) は4月22日、5年ぶりの新商品として3階建て専用の「縦の家(たてのいえ)」を発売した。都市部の住宅密集地を想定し、限られた敷地・日照条件でも快適に暮らせる「都市で暮らすことをあきらめない家」をめざした。
狭小住宅は階段を「小さく端に」配置するケースが多い。一方、今回の縦の家では通常の2倍のスペースを確保し、中央に配置。この階段を通じで空間を縦方向につなげ、3階建てでありながら間仕切りのない一室空間を実現した。
筋交いや耐力壁のない一室空間は、SE構法と平角柱+大梁を使った耐力フレームを組み合わせることで可能に。中心の階段が建物を2分するユニークな構造になっており、別々に構造計算を実施している。これにより、住まい方に合わせてフロアの高さを自由に変えられるというメリットを生んだ。
全棟「低炭素住宅認定」仕様。木質繊維断熱材を使った外張り+充填のダブル断熱により、次世代省エネ基準を約25%上回る断熱性能を確保した。モデル棟のQ値は1.86(実測値)。また、北側道路でも通風・採光のためにあえて窓を大きくとり、アルミ樹脂複合ペアガラスサッシと断熱スクリーンを標準装備する。
このほか、準防火地域に対応する国産スギ張りのファサードで、外観の魅力を高めた。プラン02(間口3.185x奥行8.19m、延べ床68.1m2)の税別価格は1917万円。
「縦の家」の開発は4年前に着手。「狭い、暗い、寒いがあたり前の都市型住宅のイメージを転換する、高性能かつ2000万円以内で買える住まいにとことんこだわった」(同社・田鎖郁男専務)。ごくシンプルな空間だが、スキップひとつとっても、どのくらいの高さに設定すれば家族の視線が合い、会話ができるかを東北芸工大の学生と細かく検証するなど綿密にプランされているという。一方で住まい手が暮らし方を自由にアレンジできる余地が豊富に残されている点も特徴的。
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