愛知県名古屋市の阿部建設(阿部一雄社長)はこのほど、2013年度グッドデザイン賞を受賞した「OMクワトロソーラー」を採用し、一次エネルギー消費量ゼロを実現したモデルハウス「大蔵町の家」を完成した。設計は建築家の伊礼智氏が担当している。
大きな特徴は、「パッシブデザイン」「自然エネルギー」「省エネ技術」を組み合わせることでゼロエネを達成したこと。「大容量の太陽光発電を搭載してゼロエネをうたう住宅会社は数多くありますが、パッシブデザインや省エネ技術といった建築的な手法をバランスさせてゼロエネを実現しているところはまだまだ少ない」と阿部社長。
具体的には、改正省エネ基準対応の断熱性能、太陽熱と太陽光両方のエネルギーを使って暖房と発電を行う「OMクワトロソーラー」、通風・採光・日射遮蔽を考えたパッシブデザイン、エコキュート、高効率エアコン、LED照明などの採用により、一次エネルギー消費量を大幅に低減。
同社のシミュレーションでは、改正省エネ基準の家と比べ、暖冷房エネルギー消費量を69%、給湯エネルギー消費量を24%、照明・換気エネルギー消費量を52%削減できるとし、電気料金は年間22万1328円削減できる計算になるという。
また、地元の材料を極力使い、ペレットストーブの燃料には自社の現場で出た木廃材からペレットを製造し利用する。
「大蔵町の家」のもうひとつの大きなポイントが、伊礼智氏の設計による住宅であるということ。東海地域では初の試みになるという。
このモデルハウスを含め、伊礼氏とのコラボレーションを「imaプロジェクト」と名付け、継続的に取り組んでいく。
「保守的と言われる名古屋で、伊礼氏の『ちいさな家でゆたかに暮らす』という考え方が果たして受け入れられるんだろうかという思いはありました。でもそれこそが我々の挑戦。日本全国でこれだけ支持されている建築家が名古屋で支持されないわけがない。おそらく3年もすればこの挑戦が当たると思います」(阿部社長)。
9月に実施した見学会では3日間で60組を集客。2014年3月末まで完全予約制で見学者を受け入れており、週末の2日間で平均3〜4組が訪れる。
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