エヌ・シー・エヌ(NCN、東京都港区、田鎖郁男社長)が提供する木造金物工法「SE構法」が、イタリアの建築物で採用された。同社によると、日本の木造軸組工法による金物工法がユーロ圏の建物に採用されたのは初めてという。同社は今後、ユーロ圏で、「日本の木造工法」としてSE構法の普及を図っていく考え。
今回のプロジェクトはイタリア・ヴェネチアの地上2階建ての2世帯長屋建て(500m2)。同地に本拠を構えるレアビタ社(フランチェスコ・モンタニアーナ代表)が、SE構法の登録施工店となり、工事を進める。完成予定は12月。
ヨーロッパでは、持続可能性などの観点から木造建築に対する関心が高まっている。また、今回の物件が建つイタリアは地震被害も多く、建物の耐震性への関心が高い。採用に当たっては耐震性と木構造でユーロ圏と日本の技術基準のすりあわせをおこなったが、日本の技術のままユーロ圏の基準をクリア。施工は、NCNのスタッフ1人が現地に行って技術指導し、現地で住宅建設に携わっている職人がおこなう。
今回、木材も含め部材は、すべて日本から輸出した。NCNの田鎖郁男社長は「部材単体を販売するのではなく、建築システムとして、文化が成熟したイタリア・ヨーロッパで取り組むことには大きな意義がある」と話す。今回の取り組みを足がかりに、ユーロ圏での事業展開を目指す。将来的には技術移転による現地調達も視野に入れる。
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